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掃除をしましょう 25
ブンっとその指を投げ飛ばしたが、目の前にいる伊東はそのことは気にしておらず、むしろ、どこか嬉しそうな顔をするのだ。
何故、と疑問に思いながらも引いていた。
「それってつまり、友達になってもいいってことだよね?」
「は? どこをどうしてそうなるんだよ」
「君が嫌がるところをちゃんと分かって欲しいと思っているみたいだから」
「そんなことだけで友達になる気なのか」
「そうだとも。友達というのは、単純なきっかけでなるものなんだよ」
何が単純で、何が友達というのか分からない。分からないが、未だに眞ノ助らの様子を見ては馬鹿にしている周りの奴らよりかは、悪くないように感じられる。
──きっと良い関係になられると思いますよ。
側仕えのその言葉が本当ならば。
「……なってやらんでもない」
「……っ! 佐ノ内君──」
「だが、僕が嫌だと言ったら、と、友達にならないからなっ!」
「はいはい。分かりましたよ、改めてよろしくね」
にこっとして、こちらに差し出した手。
何の意味か分からず、じっと見つめていると予鈴が鳴り響いた。
「チャイムが鳴っちゃった! 早く!」
「誰のせいで、こうなったと……!」
いつもならばとっくに教室に行き、勉強という名の暇つぶしをしていたのに。
友達というのは、ろくではない。
ため息一つ吐きながらも、早く早く! と促す伊東に呆れながらも、その後を追った。
良い関係、になるのかどうか見定めながらも。
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