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柘榴 23 ※眞ノ助×寂柳
「あぁっ、んっ!」
一際大きな声を上げると、『柘榴』は眞ノ助の上に腹這いで果てた。
全身を使って息をしている『柘榴』をぼんやりと見つめながら、この間でも『柘榴』と繋がっていることに密かに喜びを得ていたのも束の間、大きな後悔をすることとなった。
側仕えに射精 してしまった。
そうなるまいと思っていたのに、使用人らと祖父と同じような過ちを犯してしまった。
大きな罪だ。
快楽とは違う体が震えるのを感じた。
「んぅ……旦那様……、あと二度ほどお楽しみ頂けますが」
「二度……? 何のことだ」
泣きそうな表情から怪訝そうな顔をする眞ノ助の前に、『柘榴』は「これのことですわ」と、畳に落ちていた物を拾い上げ、見せる。
それはさっき、眞ノ助が怒り任せに、使用人に投げつけた柘榴の欠片だ。
それが何の二度目を楽しめるということなのか。
「旦那様が仰っていたでしょう。これを投げて、中から飛び出た果肉分、私を可愛がってくださると」
可愛がる。
それでも意味が分からなかったが、『柘榴』がゆるりと腰を振ったことにより、薄々気づいてしまった。
可愛がるというのは、そういうことなのか。
「さぁ、……ん……旦那様の思うがままに……、私のことを、可愛がって……ぁ、くださいませ……っ」
「ん、ん……ぅ、やめ……っ!」
一粒摘むと、手のひらからぽとりと落とした仕草に、やや気を取られていると、『柘榴』はそれを口に含むと、そうしてそのまま、眞ノ助の唇と交わる。
不意に突かれた眞ノ助の口の中に、『柘榴』が口に含んだ果肉が入り、反射的に噛んでしまった。
途端、口の中に甘酸っぱさが広がる。
この味、匂いであったが、やっぱり二人から匂っていたのは、この果実。
「ふ、……ん……あっ……んん……」
味わいたくないのに、『柘榴』の滑り込ませた舌に無理やり味わされることになる。
そして同時に来る、腰の律動。
舌で押し返そうにも、興奮しないようにしても、『柘榴』の淫らな行為に、眞ノ助はやがて、自らも『柘榴』の身を貪るようになっていった。
夢で自分の意思ではなかったことを、現実で自分の意思で目の前の女性に擬態した相手を、夢のように激しく突き、息もさせないぐらい喰らい尽くしていった。
その行為がまるで、禁断の果実に魅入られた原初の人間のように。
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