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柘榴 24
「──大っ変っ、申し訳ございませんっ!」
乱れた寝巻きを整えている背後で、地に頭をつけんばかりに勢いよく頭を下げる、土下座をした『柘榴』であった、寂柳の姿があった。
三度目の行為に耽っていた最中、絶頂した様子の寂柳がふっと、意識が失う瞬間があった。
それを見て、最悪なことを考えてしまった眞ノ助が、必死になって揺さぶっていると、次に目を覚ました寂柳が眞ノ助と目が合うなり、俊敏な動きで体から離れ、今のような状況になっていた。
「……もう、いい。僕は気にしてない」
「ですが! 薬を盛られていたとはいえ、坊っちゃまにあのような愚かな行為を、無理やりしていたことが死にあたるものでございます……!」
「申し訳ございません! 申し訳ございません!」と何度も叫びにも似た声で謝罪する側仕えのことが段々と不憫に思えた眞ノ助は、背きたい現実に向き合った。
「もういいと言ってる! 何度も言わせるな!」
どのぐらい『柘榴』であった相手と耽っていたかは定かではない。そろそろ誰かが起きてしまうんじゃないかとも気にせず怒鳴ると、見るからに体を震わせた寂柳が、そろりと顔を上げる。
が、眞ノ助とは目を合わせなかった。
「……では、私はどのように償えばよろしいでしょうか」
静かに紡がれた言葉に、眞ノ助は言葉が詰まりかけた。けれども、「……違う」と返す。
「償わければいけないのは、祖父の方だ。そして、亡き者の代わりも含めて、この僕が償う」
子どもの悪戯程度のものから、時には、子どもでも許されない行為をしてきても、謝罪を一つもしたことがなかった人間が、自分のこと以外の罪でも償うと口にした。
けれども、きっと、それらを合わせても、寂柳に対する罪は、償っても償いきれないだろう。
それでも、想い続けていた気持ちの代わりになるのなら。
「……坊っちゃま……」
遠慮がちに見せた表情は、今にも泣きそうな、まさかそのようなことを言うとは思わなかったという戸惑いなのか、そんなごちゃまぜの表情だった。
「……そう言って頂けるとは思いませんでした。お気持ちだけは、受け取っておきます」
「寂柳 っ!」
「坊っちゃま、いけないですよ。下々の、さらに慰みものにしか使い物にならない卑しい身分に、そのようなことを口にしては」
言葉を失った。
そんな眞ノ助に、側仕えは自嘲する。
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