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第5話

「 じゃ、じゃあな、圭」 両隣に纏わりつく、真琴と三琴は一向に離れてはくれず諦めた。昼休みが終わり、別のクラスへと圭と別れる俺のクラスの教室の前。 「 くっつきすぎ!順平!」 最後、何故か、俺は圭にそう怒鳴られた。 「 いや、俺がくっついてる訳じゃ....」 フン、と鼻息を荒くし、圭がクラスに向かった。 良き理解者な圭を誤解させたか...? 休み時間。 変わらず、二人が机をくっ付け、三人で俺の教科書を見るのは、まあ、仕方ないとしても、くっつきすぎだろ!てくらいに、俺にベッタリな真琴と三琴がようやく、離れてくれ、肩をコキコキ鳴らした。 「 肩、凝ってるの?揉んであげる!」 「 じゃ、僕は腕、揉んであげる!」 右が兄の真琴、左が弟の三琴だと、授業中でなんとかわかった。 「 いや、肩凝ってるのはお前らが...」 くっつき過ぎだから、と言う前に。 「 順平ー!」 授業、終わったばかりだというのに、別クラスの圭がやって来た。 何やら息を切らしてる。 「 何、慌ててんだ?圭」 俺はもうマネキン状態で、真琴と三琴に肩やら腕を揉まれている。 気持ちいいし、好きにさせた。 が、 「 何やってんの!双子!」 血相を変えた圭が真琴と三琴を引き剥がす。 「 何すんのー、圭くん」 「 そうだぞ、圭、せっかく気持ちよかったのに」 圭に睨まれ、腰が引いた。 「 肩や腕、揉まれて、ヘラヘラしちゃって!順平らしくない!」 「 ....別に、肩凝ってたし」 「 だったら、俺に言いなよ!」 「 え?」 腕まくりしたかと思ったら圭が俺の肩を揉み始めた。 「 も、もう少し、力緩めてくれないか?い、痛い、圭」 「 ねえ、順平くんは部活、なに?」 右が聞いてきた。真琴だ。 「 あー、俺は」 弓道部、と言おうとするのに被せるように、 「 順平は陸上部だよ」 圭が答えた。 「 へえ、陸上部かあ。だったら、僕達も陸上部にしよっか?三琴」 「 だね、そうしよっか、真琴」 「 順平は弓道部だよ、双子ちゃん」 斜め前に座る友人のアルファ、田中龍介が振り返り、伝えた。 「 弓道部?陸上部じゃなくて?」 「 そ、弓道部。ちなみに俺は水泳部。丁度、部員も募集し」 「 弓道部だって!真琴」 「 弓道部にしよっ、三琴」 「 だねっ!」 背後で俺の肩を揉んでいた圭の力が強まり、 「 お、折れる、圭」 「 そう、睨むなよ、圭」 「 軽々しく名前呼びするな!双子といい、田中といい!」 だから、肩痛いから、力弱めてくれ...。 細身の体から、どっから、そんな力が沸いてくんだ。 周囲からも、俺の両親からも、細身で美人と言われている圭の握力の強さを知る羽目になった。

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