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第22話
圭も真琴や三琴を邪険に振る舞えなくなってきている。
昼休みは順平だけではなく、自分にまで、
「はい!圭くんも、あーん!」
と悪びれる事なく、無垢な笑顔を向けられる。
以前、思わず、怒鳴りつけた際は二人共に泣きそうな表情になり、大人げない気分になり...。
そうして、部活動の時間。
はっきり言って、弓道にこれっぽっちも興味は無かった。
順平が入部する、と言うので、自分も自ずと入部したのみ。
が、全く上達しない。
だが、的を得る部員の姿を見ると、素直にカッコいいと思うし、羨ましい、と思う自分もいる。
順平や他の部員が教えようとしたが、意地を張り、断っていた。
真琴や三琴もまた、入部初日から、完璧な構えで的を射抜き、周りを圧倒し、気がつけば、真琴や三琴はアルファだけでなく、オメガの部員たちとも仲良くなっていた。
弓道着を纏い、弓を持った圭はしょんぼりと立ち尽くし、項垂れた。
と、不意に背後に気配があった。
振り返り見下ろすと、真琴や三琴だ。
「...なに?僕を馬鹿にしに来たの?」
二人は同時にポカン、と丸い目で口まで開いた。
「教えてあげる!」
真琴が背後に抱き着いて、
「僕たちもね、すっごく時間かかったけど、楽しかったから!」
「構えはこう!」
真琴と三琴が手分けして、圭の腕を掴んだり、脚をもう少し開いて、とアドバイスをし、
「はい!圭くん、今!」
真琴に背後から抱き着かれた状態で弓をしならせ...
見事に矢が的の中心を射抜いた。
「...初めて刺さった...」
圭は放心状態だが、
「どう!?面白いでしょ!?」
「スカッとするよね!」
真琴と三琴が両隣でにこやかに笑い...
「....うん...ありがとう」
顔を背けたまま、小さく呟いた圭に真琴と三琴は、
「「どういたしまして!」」
同時に微笑んだ。
順平は弓道に夢中、たまに部長や部員たちと会話している中、真琴や三琴に習い、だいぶ、弓道に慣れた圭は小休憩。
教えていた二人もまた小休憩。
初めての三人の時間だ。
「今日ね、順平くんのお家に手土産を持って行くんだけど、圭くんも来るよね?」
三琴が笑顔で圭を見上げて尋ねた。
「...行くけど。行ったらマズいの?」
警戒心が解けない圭は思わず、口を尖らせた。
「ううん!圭くんにも来て欲しいから、よかったー!」
真琴が微笑み、圭は眉を寄せた。
「...嫌じゃないの?僕まで行ったら」
「全然!手土産もね、圭くんにも食べて欲しいから!」
三琴の溌剌とした笑顔に圭は戸惑った。
「...好きなんじゃないの?順平のこと」
二人がきょとん、と圭を見上げる。
「「好きだよ?」」
二人は同時に答えて微笑んだ。
「...やっぱり」
圭の警戒心が再び加熱した。
「「順平くんが助けてくれたから!」」
真琴と三琴が微笑み、圭は驚愕に目を丸くし、口元を抑えた。
「...やっぱり、鶴....?いや、亀...?」
「「え?」」
「う、ううん、なんでもない」
圭は口を濁し、真琴と三琴は首を傾げた。
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