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ラブ・コール 16

 想の日焼けしていないほっそりとした裸体に、激しく欲情した。  想が俺の下で身じろぎをする度に、青いシーツが波を作る。  まるで……二人で船を漕いでいるようだ。    想は白い帆船で、俺は想を運ぶ海になる、波になる。  正直に言えば……体中の血が沸騰する程、興奮していた。  小さい頃は無邪気に風呂にも入った仲で、修学旅行でも想の裸は見たと思うのに……これは全然違う。  今から抱く相手だからなのか。  一つになる相手だからなのか。  艶めかしい。 「ふぅ――」  一度、長い、長い息を吐いた。  グラウンドを駆け抜ける風のように一気に抱いてしまいたい気持ちを、吐き出した。  俺はそれで満足するだろうが、想は違うだろう。  想はいつも校舎の2階に佇み、縦横無尽に走り回る俺を見ていた。  もう……想を置いてきぼりにはしたくない。  固く閉じている部分を優しく揉みほぐし、指を慎重に潜り込ませる。  熱っぽい襞を掻き分けていく。  初めての感触に、ふたりで息を呑んだ。 「つっ……」 「痛いか」 「……大丈夫……」 「少しずつするよ」 「あ、うッ……」  入り口の抵抗を過ぎると、すんなり奥に入った。  熱い皮膜の中を、指が泳ぐ。  このまま想の中に蕩けそうだ。  想の中に潜む静かな情熱に触れる。  この辺か……  大きく指を折り曲げると、想の腰がビクンと跳ねた。 「あぁ……っ、やっ、動かさないで」 「ここ、気持ちいいのか?」 「わ……からないよ。しゅーん、しゅーん」 『しゅーん』と幼い頃のように俺を呼ぶ声に、グッときた。  想が両手を広げ、俺を心許なく探している。  だから想の細い腰に手を回し、安心させるように抱きしめてやった。  小さい頃の想は今よりずっと身体が弱く、心も弱く、儚い印象だった。  あの頃を彷彿するような声が届く。 「しゅーん、僕は……ちゃんとできてる?」 「大丈夫だ、想は上手だ。偉いな」 「しゅーん、途中でやめないで、僕も一緒に超えてみたいんだ。走り抜けてみたい」 「想……」  想の前向きな気持ちが嬉しい。  想だって男なのに……抱かれる方を選んでくれて、何もかも委ねてくれて。  愛おしさが更に募る。  俺の宝物だ。  優しくとびっきりの愛情をこめて、もう一度抱きしめてやる。 「駿……あの……続きをして……いいよ」 「あぁ、じゃあ指……増やすぞ」 「ん」  積極的な想に励まされて、指を更に奥に穿ち、もう1本……2本と慎重に顔色を見ながら増やした。  最初は慣れない異物への違和感に戸惑い、苦しそうに眉根を寄せていたりしたが……次第に表情が柔らかくなってきた。  そして待ちにまった甘い……甘い……声が届き出す。 「んっ、んっ……」 「想……気持ちいいかのか」 「あ……っ、あっ」  潤滑剤をたっぷり足しながらの行為に、想の腰が揺らめきだした。  ヤバイ……  自ら腰を振る想がいやらしくて、可愛くて目眩がする。   身体を重ねるって、こういうことなのか。  自分の快楽だけを追い求めるのではない。  相手を思い、相手と共に気持ち良くなりたいと……丁寧に心を砕くことなのか。 「もう……ひとつになり……たい」  想からの一言に、泣きそうになった。  それは、どんなに求めていた言葉か。  この10年、何度も想像しては諦めた言葉を、想がプレゼントしてくれるなんて。 「もう、ひとつになろう」  朱に染まる想を仰向けにして、膝をしっかり立てさせる。  俺に向かって足を大きく開くポーズは卑猥なのに、俺を見上げる顔は恥じらいを含んだ清楚な雰囲気のままだった。 「淫らで……可愛い想」 いよいよだ。 「もう……挿れて」 「あぁ……想の中に会いに行くよ」    俺は指をそっと抜いて、自身をずしりと想の中に沈めた。  

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