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ラブ・コール 17

 これで合っているのか……  僕はちゃんと出来てる?  そんなことは……もう何も考えられなくなっていた。  夢中で駿にしがみついていると、中を指先で大きく掻き混ぜられた。 「あぁ……それ、や……変になる」 「すごく柔らかくなった」  潤滑剤は最初は冷たく感じたのに、今は僕の熱に同化していた。  くちゅり、くちゅりと響く水音。  僕と駿の息づかいが静かな部屋に広がっていく。  今の僕には駿が海だった。  僕の身体を大海原に連れ出して、引いては返す波に浮かべてくれる。 「あ……あぁっ」  身体の奥で指を折られた時、何かが弾けたように腰が震えた。 「な……なに……?」 「ここか……」 「あっ、う……や、そこばっか」  僕の腰が自然に揺らぎだし、体温がどんどん上昇していくのを感じた。  駿の求める視線を、下腹部にじんじんと感じている。  羞恥に震えながらも、僕からも足を大きく開いた。  心許ない姿で「もう……ひとつになりたい」と弱々しく訴えると「もう……ひとつになろう」と心強く答えてもらえた。  続けて「もう……挿れて」と強請れば、「あぁ……想の中に会いに行くよ」と約束をしてくれる駿が好きだ。  ずっと……グラウンドを駆け抜ける風になって、駿と一緒に走り回りたかった。  駿と同じ気持ちを、ずっと体感してみたかったんだよ。  僕が駿に抱かれることによって、それは今、叶うんだ。 「……あぁっ……」  駿がずしっと腰を沈めると、さっきまで指で広げられた部分が抵抗なくそれを受け止めた。  異物感は強かったが、駿だと思うと愛おしさにすり替わった。 「ん……ッ……」 「大丈夫そうか。もっと進めても」 「う……ん」  ギュッとキツく閉じていた目を開けると、僕を気遣う表情の駿と目が合った。それは僕の襞を押し広げながら、慎重に進んできた。 「想……俺、今、想の中にいるよ。分かるか」 「ん……あ……」  じわり、じわりと僕の中に潜ってくる駿の屹立の存在。  身体を徐々に開かれていく感覚に、思わず息を呑んだ。  だが……身体の痛みより、心の愛しさが増していた。  僕の身体で、こんなことが出来るなんて……すごい。  ずっとこの瞬間を待ち侘びていたんだ。  さらに駿が腰を進めたので、僕は振り落とされないように、駿にしがみついた。 「これで……全部入った……今、俺たちはひとつになっているんだ」 「ん……僕……駿とずっと……こうなりたかった」  自然に溢れ落ちる言葉に誘導されるように、ぽたりと頬に暖かいものが落ちてきた。  落涙……  駿が目を赤くして泣いている。 「駿……どうして……泣いて」  駿を受けた身のまま手を伸ばすと、駿がふっと微笑んだ。 「嬉しくて」  とてもシンプルな理由に、僕の目からも涙が溢れた。 「僕も嬉しい」    僕の涙は駿にすぐに吸い取られ……そのままチュッと唇を重ねられた。 「少し……動いてもいいか」  僕の身体の中で駿のものがぐんと嵩を増したのが分かり、思わず呟いてしまった。駿を喜ばせるだけの言葉を…… 「駿の……大っきい……」  

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