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第1話

俺、加賀佑太。社会人二年目になる23歳。 彼氏は同じ会社に勤める二つ年上の25歳、佐伯孝輔。 新入社員の歓迎会で、初めて先輩を見た時から好きになった。 177センチだという手脚の長いルックス。 爽やかながら、男らしく精悍で、仕事も出来るし、後輩からの信頼も厚い。 自分が関わった仕事でもないのに、部長から怒鳴られまくっている後輩を、周りは、 「言い過ぎだよね、部長」 遠巻きに、同僚たちがひそひそ言っていた中、 「僕の監督不行です、申し訳ありません、部長」 と、泣きそうになっている後輩の隣で頭を下げる勇敢な姿に、これはもう恋だと確信した。 俺はといえば、男らしさに欠け、平凡、を絵に書いたルックス。 特に小柄、て訳でもなく、まあまあ細身だが、単に筋トレとかが苦手、てだけ。 特に華やかさがある訳でもない。 が、それなりの経験はある。 愛嬌だけが取り柄なのが救いだ。 彼女はいない、と風の噂では聞いていたが、初めて、先輩を飲みに誘い、彼女がいない事は本人から直接、聞けた。 「なかなか時間がなくて」 まあ、良く使う言い訳だな、と、 「どのくらい、彼女いないんですか?」 の、次の問いに、先輩は当時、返答に困り、焦っていた。 「...やっぱり」 「やっぱり、て」 「...佐伯さんも、もしかしたら、そうですか?俺、ゲイなんです」 周りに聞こえないような小声でカウンターの隣に座る同じくスーツ姿の先輩に尋ね、カミングアウトした。 「....ああ、やっぱり、お仲間にはバレたか...。会社には言わないで貰えるか?」 不安そうに、眉を寄せて、同じく声を抑え、俺に言う。 「言いませんよ。だって、俺もそうなんですし...ずっといいな、て思ってました、佐伯さんの事」 じ、と先輩が俺の目を見つめる。 「...悪い、無理なんだ」 「...やっぱりタイプじゃないですか?それとも、好きな人がいるとか」 「いや...EDなんだ、俺。だから、付き合えない。なんとなく、加賀はウケだろう?使い物にならないから、俺の」 え、と当時、俺は驚愕に目を見開いた。 「まだ25ですよね?」 「...まあ、色々あって」 そこまで言うと、先輩はハイボールのグラスを傾けた。

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