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第1話
幼い頃の夢を見た。
まだ幼稚園児だった頃、俺は今みたいにひねくれておらず素直で、それでいて今と変わらず超カッコ良…可愛くて、隣には必ずあいつが居た。
『りおちゃんをいじめんな!りおちゃんいじめたやつはぜーいんタイホするぞ!!』
気が弱くていじめられっこだった俺をいつも守ってくれた。
父親が警察官だったせいか、誰よりも正義感が強くて、誰よりも優しいあいつ。
『りおちゃん、ずーっとぼくがまもってあげるからね。おとなになってもずっとだよ。そうだ、おおきくなったらぼくとけっこんしよう?そしたらずっといっしょにいられるんだっておかーさんが言ってた!』
あいつ、俺があんまり可愛いからって本気で性別間違えてたんじゃねぇだろうな。
それとも、ほんの五歳のガキだったし国内じゃ男同士は結婚できないなんてルール、まだ知らなかったのかな。
それでも俺は嬉しかったんだけど。
『りおちゃん、だいすきだよ』
大人になっても一緒にいるっていう約束が、
『りおん、』
俺を守ってあげるという言葉が、
『理音、』
結婚しようと言ってくれた、あいつの
「おい、理音。そろそろ起きろ」
ゆさゆさと身体を揺さぶられて、俺は夢から覚めてぱっちりと目を開けた。30センチもない距離、目の前にいたのは、
「…昂平?」
「起きないとキスするぞ」
がば!!
「おっと」
「…っなんで俺の部屋に居んだテメー!!」
幼なじみの、犬塚昂平だった。
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