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第11話

*  朝練が終わる頃には、俺は寝不足と体力消耗で死にそうになっていた。 「……きもちわりぃ……」  朝練の内容は主に体力作りのトレーニングだ。それと、バレーの基礎練。飛んだり走ったりボール打ったり投げたりバレー部は結構ハードな部活だ。 その上学校にも走ってきたもんだから、俺の体力ゲージはそろそろ尽きてきてる。まだ8時前なのに。 「大丈夫か?理音。別に朝練は強制じゃないんだから、仕事の次の日くらいは休んだらどうだ。美奈子さんも、心配していたぞ」  少し汗をかいただけで平気な顔をしている昂平が俺のそばにきて、スポドリとタオルを渡してくれた。 「一日でもサボったらトレーニングになんねぇだろーが」 「仕事帰りにジム行くとかすれば」 「金払って運動するとかそれこそありえねぇだろっ!」 運動する場所のない社会人ならともかくな! 母ちゃんにも言ったけど、トレーニングなんてもちろん口実だ。少しでもお前と一緒に居たいからだよ、ばーか。気付けばか。 一生気付くな、ばか。 「シャワー浴びれるか?」 「あ?そんくらいの体力は残ってるっつぅの…」 昂平程じゃないけど、俺だって中学の頃からずーっとバレーやってきてるんだから、それなりの基礎体力はついてるんだからな。 「うわぁっ」 とか言っといて、立ち上がろうとしたら膝がカクンと折れてしまった。体育館の床に膝をついて、俺は舌打ちをした。足がガクガクしている。 「やっぱ無理してるじゃないか……」 「うるせぇな!……もー、お前先行けよっ、ホームルーム遅れるぞ!」 体力がないことを気にされると、朝練にも来るなと言われているような気持ちになる。 だから、心配してくれてるのに悪いと思いつつも、ついこうやって悪態をついてしまう。 「馬鹿」 「誰がばかだ!」 「わ!」 昂平が俺の右腕を掴んで立たせてくれた。 いきなり触れられてギョッとする。また、顔近いし! 「朝も先に行けって言ってたけどな、俺が勝手にお前の家に押しかけてるんだ。心配するのも俺が勝手にしていることだ。だから、先に行けとか言うな、馬鹿理音」 「んだよ……っ」 昂平に掴まれたままで、俺は歩きだす。 やべえ、掴まれたとこが熱い。 心臓の音、昂平にも聞こえそう。

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