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#スイーツ男子のお相手は色彩鮮やかで繊細なマカロンのような彼⑦

 『あー美味しかったぁぁ!、、って二人ともそんな目で見ないでよ』  「そりゃ美味いに決まっとるやろ、この店で一番高級な肉やねんから。俺も19年生きとって初めて食うたわ」  ゴールドのお皿が3つと野菜、完全にお肉一つで予算オーバーしたテーブルにはお皿が数える程しか置かれていない。  『まだまだ食えるけど、、3人ともこれ以上はお金足りひんやろ』  「ってかさ暖、知らないのに何で頼んだのよ」  『いやなんかー…スイーツみたいで美味しそうだったから……』  「シャトー…ブリアン。ホンマや!よく聞いたら洋菓子にありそうやな」  「ちょっと明希まで何言ってんのよ。ったく、、ちょっと私トイレ行ってくる!」  いつみがトイレに行く背中を見ながら部屋を出たのを確認すると明希は顔を近づけた。  『あぁ、、失敗したなー…』  「それより暖!あれから何かあったか?」  「えっ!?何かって、、まぁとりあえず新しい参考書を買って……」  「ちゃうちゃう!そっちちゃう。配信男の方から何か無いかって事や」  突然、彼の話題になってハッと目を丸くする。確かに明希には何でも相談するし隠し事はしない。だけど今回はさすがに言えるはずない。だっていきなり帰ったら部屋にいて"恋人になって一緒に配信しよう!"なんてそんな話信じる訳ないし、、僕だってまだ嘘みたいな話で戸惑ってる。  『あっいや、、別に何もないけど……』  「そうかーなら良かったやん。さすがにもうあのチャンネルも終わりにするやろ」  "いやまさにそのチャンネルを新たに始めようとしてるんだけど"なんて軽々しく笑い話で話せたらいいんだけど、何故かこの事は誰にも言えない誰にも知られたくないと思った。 何となく誤魔化して明希はしばらくぶつぶつと何か言っていた。    『……あれ?いつみ遅くない!?』  「ほんまやな。あぁあれやな。大の方か?しゃーないな、見てくるわ」  明希はそう言ってトイレの方へ歩いて行った。僕は急いで財布を開いて残金確認をした。とりあえずギリギリ払えるお金は持ち合わせていた。 ただでさえバイトしてない僕はいつでも金欠。カフェに最近行かなかったせいか、まだ多めに現金が財布に入っていて安心した。  ふと時間を見ようとスマホを開くと"着信7件"と表示が出てタップすると、高級肉を食べている間に5分おきにかかってきていた電話。そして着信先の"大我"と文字につい声を出してしまった。  『はっ!?何で彼が、、何だろうー…』  気になるが今はこんな場所だし、正直まだどうするか決めかねていて答えが出ない。まだ一日しか経っていないけどこの24時間そのことばかり頭にあって離れてくれない。 すぐ電話折り返した方がいいのかなとスマホを握りしめたまま名前を見つめた。  その時個室の外から聞こえたのは言い争うような声。ずっと静かだった店内をまさかと思い恐る恐る顔だけ出してみる。  『明希といつみ、、と誰!?喧嘩!?』

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