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再びの夫婦─檻─ 10

「何勝手に挿入()れようとしてるの……? ……本当、葵は淫乱だね」 「……ん、ひぅ……っ!」 強く引っ張るのと同時に紡がれた淫らな言葉に、悦びに(あな)を締めつける。 「……っ、締めつけるぐらい嬉しいわけね。だったら、そんなに欲しいなら、いくらでもあげる、よっ」 「〜〜〜っ!!」 ズンっと、一気に腰を下ろされる。 その衝撃で目の前に火花が散った。 ああ、やっと欲しかったモノが自分のナカを埋め尽くしてくれる。 恍惚な表情をしていた、その刹那。 兄が激しく腰を揺らし始める。 「あ"っ! あっ、ん、あっ、あっ!」 「葵……っ、下から、突かれて、気持ちいいの……っ?」 「うんっ! いいっ! きもちいいっ! 兄さんのっ、いいっ!! んっ!」 突然、口を塞がれた。 驚いたのも束の間、絡め取られた舌を蹂躙され、息が出来ないと思った時、兄が離れていった。 頬を紅潮させ、半開きの口からは口淫された証の銀の糸を垂らし、ぼーっとしていると、碧人が笑った。 「これから僕達は夫婦になるのだから、僕のことは名前で呼んでくれないと」 「なまえ……?」 「そう。名前を呼んでごらん」 「な、まえ…………」 霞がかった頭で、兄の言葉を遅れて理解する。 名前。それは、自分の名前の読みと同じの。 「あ、碧人……さん」 恐る恐ると言ったように紡いだその名前に、ズキッとした。 それは、常に痛む下腹部に浮かんだ刻印からではない。 兄の名の「碧」という字を思い浮かんだ時、そうなったからで。 けど。何故、そうなったのか。 「……碧人、さん……ね。いいね、夫婦らしい……っ」 「あぁっんっ!!」 不意を突かれたように、止まっていた腰を下から突き上げるように揺らす。 そのせいで、快楽のみしか考えられなくなり、身を委ねていく。 「あっ! あぁっ! あ、あおとっ、さん! んっ、あっ、ひっ!」 「前も、後ろもっ……痛くて、気持ちいい、でしょ……?」 「んっ!! いたぁ、くて、きもちいいっ! もっと! もっと! いたくしてぇ!」 「……ほんと、償ってる自覚、あるの……っ」 「あ……ッ!!」 両手を引っ張るのと、深く一突きしたのが同時にされたものだから、衝撃で背筋を伸ばした状態で固まった。 縛られていなければ今頃、兄よりも先に射精()しているかと思える、快感。 遅れて、頬が蕩けそうなぐらい緩んだ。

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