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改淫な贈り物 20
ハッと、目を開けた。
間隔を開けないまま何度も絶頂させられた後、またうつ伏せにさせられ、「綺麗にしないと」と頭を掴んできては、料理であったものを無理やり食べさせられたような気もするし、自分がそうしてきたというのに、「汚くなってしまって……」と心底悲しそうな表情を浮かべながら、生理現象で流れた涙も合わせて、さらに汚れてしまった顔を舌で綺麗にされたような気もする。
しかし、考えていた意識を現実に向けると、目と鼻の先に小さく寝息を立てて静かに眠る碧人の姿があった。
「っ!」
思わず飛び上がってしまいそうになったが、自身の両手が碧人の首に手を回すような形に、そして、纏めて縛られているらしく、簡単には碧人の首から離れられなかった。
それに、少し動かしたら、碧人のことを起こしてしまいそうで、起きたら何かをしてきそうであったので、横向き寝のままでいた。
食事の時間以外は、部屋を暗くされており、だから、葵人が途中で果ててしまったのだろう、風呂に入れ、就寝時間となったのだろうと思われる。
さっきのと違う、ほのかに香るシャンプーの匂いを嗅ぎながらも、何故、碧人が同じ布団で寝ているのだろうと、冷静になっていく頭で考えた。
薄暗がりであるから、碧人の顔ははっきりと見えない。だが、昔と変わらない、自分とよく似た優しげな顔立ちに、ほんのりと頬を染めた。
葵人の誕生日を迎えてから、碧人の誕生日を迎えるまでの間、碧人と一緒に寝ることがあった。
それは、一歳差であり、そして一週間違いで碧人の誕生日が来てしまうと、自分と同い歳ではなくなってしまうからだ。
今となっては、碧人に引っついてどうにかなるわけではないし、ただ単にいつも以上に甘えたかっただけかもしれなかった。
そうした誕生日週間を送っていたある歳の頃、想ってはならない感情を抱いてしまった。
それは、実の兄に恋心を抱いてしまった。
当時は、兄を見るだけで何故か高鳴ってしまうことに戸惑っていて、それが恋心だとは知らなかったが、今はそうだったとはっきりと言える。
今の自分の鼓動が、飛び出てしまうほどに高鳴っているのを感じつつ、起こさない程度に、自分の方へと、唇へと近づけていく。
近づくにつれ、目を閉じて、僅かに開いている、触れてしまいたくなるぐらいの、形の良い唇に、そっと触れた。
あの頃の記憶と重ねながら。
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