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エピローグ 2

「でもね、今まで外に出たことのない子達が、どんな危ないことがあるのか分からないのだから、それをのが親の務めだもんね。ね、葵も身を持って経験したもんね……?」 「…………」 「だからね、してはならないと、二度とそんなことをしないようにと、今、教え込んでいるんだよ……? 葵の子達だから、素直に聞いてくれると思うのだけど」 ふっと笑みを深め、優しく葵人のことを抱きしめる。 「時折、あの二人のことを思い出しては、心配そうに涙する葵の代わりにしてあげたのだけど、だめだよ、葵は僕だけしか愛してはいけないのだから。……自分の罪、分かってる?」 背中辺りまで長くなった葵人の髪を、手で梳く。 「……最期の最期まで()してあげる」 長い髪を払い、透き通るように白い首筋に歯を立てた、その一瞬、見逃すほどに僅かな反応を見せたかのように思い、力を加える。 跡がつくぐらいに。自分のものだと示すように。 そうしながら、今日はどんなお仕置きをしようかと考えを巡らせる。 そうした薄暗い檻の中、桜の花びらが春の終わりを告げに、二人のそばで静かに散らすのであった。

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