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マザー 7

 全ては終わり、その人も死んだ。  全てのゲームに勝利したはずの少年も、組織に捕まったのだと聞いている。  男は・・・あの後組織を抜けた。  あの人は何故か男が渡した銃とナイフは使わなかった。  他の仲間が、手に入れた銃とナイフが使われたことがわかり、そいつは生皮を剥がされながら死んだのだらしい。  そうなっていたのは男だったかもしれないのに。  男は組織を去るのを許された。  組織は役立たずはいらないのだ。  故郷に帰るつもりだった。  あれからもう何ヶ月になるのか。  あの人がどこに埋められたのかさえわからなかった。    最後の街だった。  もう二度と、こんなところには来たくなかった。  酒場で最後の一杯呑む。  明日は故郷へのバスにのる。  バスの駅からさらに誰かに乗せてもらって山奥にはいり、さらに1日は歩く。  ひさびさの野宿になるだろう。  姉達は元気だろうか。  ふと顔を見上げたその先に、その人がいた。  美しい顔。   美しいシルエット。  酒場で誰かとたのしげに話しかけていた。  幻?  思わず近寄る。  あの人の顔。  あの人の眼差し。  あの人の声。  でも違った。  違った。  ふらふらと近寄った男の前にいたのは・・・あの人と同じ顔の少年だった。  あの人を殺し、同じ顔の少年達を殺し、幹部まで殺しつくしたあの少年だった。  少年は自分より年上の若い男の肩を抱いていた。  口説いているのだ。  その綺麗な男が少年に落ちているのは明白だった。  もう、淫らに首筋をなめられ、喘いでいたから。  この街の酒場じゃ、テーブルの上で始めていても誰も驚かない。  少年は青年の服の下に指まて這わせていた。  少年は男に気づき顔をあげた。  何て目だ。  男は思った。  その目の中には闇しかなかった。  少年は男に気づいたようだった。  そして薄く笑った。  首から血が吹き出しているのに気付くのには思いの他時間がかかった。  床に倒れ、自分がもうすぐ死ぬのだと気付くのにも。  少年はあれだけ殺しただけあって、とても上手に喉を切り裂いていた。  少年が楽しそうに笑っているのが最後に見えた。  あの人は生み出したのだ。  少年は呪いだった。  あの人がこの世界に生み出した。  あの人を自分達がそうしたように、少年は人間で楽しむ。  殺し、犯し、人間で遊ぶ。  人間に虐げられた人形からの人間への呪いだった。  あの人が生み出した呪い。  あの人が育てた呪い。  あの人の絶望。  男はならばいいと思った。  あの人に殺されるのは、構わなかった。  男は闇へと堕ちていった。  闇の向こうにあの人がいるのだろうか。  いてくれることだけを願いながら  END    

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