87 / 506
第87話
玲二
「おい玲二」
呼ばれて振り替えってみると、そこに知った顔があった。
うわ!なんでここにいんだよ。
「へー!玲二ずいぶん楽しそうじゃん?」
「……何やってんだよ」
ニヤニヤと笑うこいつは、年下のクセに僕より背が高い。
逢沢先輩は誰?って感じでこいつを見てる。
「あ、先輩こいつは……」
「どうも~!俺、玲二と仲良くさせてもらってまーす!俺たち、一緒に寝てる仲だよね~玲二?ねぇ……今夜は……どうしようか?」
そう言われながら、むぎゅっと抱きしめられてしまった。
「!」
「!ちょ!お前!?何言って!」
「相変わらず可愛いなぁ~玲二は。今夜もしちゃう?あ、スミマセーン!俺達これから二人で用事あるんで、ここで失礼しまーす」
強引に腕を引っ張られ、逢沢先輩にきちんと挨拶出来なかった。
呆然と立ち尽くす、逢沢先輩が遠ざかっていく。
先輩ごめんなさい!
て、おい!こいついい加減にしろっ!
バコ!!
思い切り、足蹴りしてやった。
「いってー!」
「類っ!お前…何やってんだ!!」
ニヤニヤしたこいつは屋内類
現在中学三年で僕の弟。
見た目も言葉遣いもだらしない弟なんだけど、音楽のセンスだけはずば抜けていい。
で、男が好き。
そのせいか、いちいち僕の交友関係の男子を値踏みしやがる。
詩に会わせたくないランキング第一位の男だ!!
「何って~兄ちゃんと一緒に帰ろうとしただけだけど?」
「へらへら笑って、逢沢先輩に失礼な態度とりやがって!」
「あ、あいざわ?へ~菊池先輩じゃかなったのか。てっきり噂の菊池先輩かと。聞いてたイメージよりクオリティ低っ!って思っちゃった。なんだよ他人かよ」
「菊池先輩じゃねーよ!つか今メチャメチャ誤解されただろ!」
「あっはは!あいつ凄い顔してたな!やっべぇ!嫉妬されちゃってるかも俺!」
「嫉妬ってなんだよ…大体僕が中学入ってからは部屋別々だし、もう一緒になんか寝てないだろ」
「兄ちゃん相変わらず鈍いな阿保か?まあ、あいつは駄目だ、やめとけ」
「あ、阿保はお前だ!!あー今度逢沢先輩に謝らないと」
ともだちにシェアしよう!