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第89話

宗太 避けてたのに、 学食でバッタリ屋内と遭遇してしまった。 駆け寄られたら回避なんてできないよね。 「お、屋内!…一緒に飯食う?」 「はい!」 一緒に食べることになったけど、そんなに俺と飯食うの嬉しいのかねー。 霧緒たちの話とか、好きなゲームの話をしたりしてさー、この子は本当全くゲームばかりやってるな。 好きなんだろうけど、やりすぎだって思う。 目の下にクマできてるからさ、先輩はね心配なんだよ。 そう思うんだけど、ゲームの話をしてる屋内は、凄く楽しそうで生き生きしてる。 あはは、やれやれ。 そう思いながら飯食ってたら、後ろから声がかかった。 ? あー? 誰だっけな、こいつ…二年だな。 わ、俺今チラ見されちゃった。 屋内と知り合いっぽいけど… …あ、 そうそう管弦楽部のやつだ。 この部活って圧倒的に女子が多いから、男子って目立つんだよね。 ふーん………… 屋内に聞いてみたら、やっぱりそうだった。 名前までは知らねーし、興味もない。 それよりも屋内がバイオリン弾けることに俺ってば感動しちゃったけど! その流れで話を色々と聞いてたら…… ちょ、待て?マジか……! 目の前でぼろぼろと泣かれてしまった!!! おおおお! 焦りながら脇に置いてあったボックスティッシュを渡した。 なかなか止まらない涙と鼻水と、格闘してる屋内の白い顔は、みるみる目の周りと鼻が赤くなっていき…… う、ヤバい…… これはヤバい。 か、可愛い…… あー!!!! だからっ!!!だから避けてたのに! はっきり言って、俺にこの感情は必要ない。 ただのいい先輩でいたい。 いたいんだ。 だからこの感情に無理やり蓋をした。

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