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第90話

玲二 何日か経ったある日の放課後。 管弦楽部は、ほぼ毎日の朝練午後練は学校の廊下や踊り場を使って練習に励む。 弦楽器、管楽器…打楽器の様々は音色は汗と涙の結晶だ。 音がないと時が止まっているようだ。 誰もいない音楽室。 逢沢先輩から呼び出されて、僕はここにきている。 今日も練習はないらしい。 前のこともあって謝りたかったし、ちょうどよかった。 本当失礼なことした。 「逢沢先輩。この間はすみませんでした!」 「んー?ああ……いいよいいよ!気にしてないから」 逢沢先輩は、笑いながら窓を開ける。 窓から入ってくる風は蒸していて生暖かい。 「あのさー、屋内くん」 「はい」 「俺さ!屋内くんのこと、好きなんだよね」 「?」 「実はさ、ひとめぼれってやつで」 「え」 「コンクールで演奏してる屋内くん、凄いカッコよかったんだ。その時からずっと君のこと好きだった」 「……」 ? ええと、この先輩は何を言ってるんだろう。 今僕の事、好きだって言ったけど。 は! ま、まさかこれはもしかしてもしかする告白ってやつか? マジ? 後ろを振り替えってみたけど誰もいない。 ぼぼぼ僕に言ってる??? 「え!!先輩マ、マジ!?」 「え、マジだよー。何言ってるの?何その反応」 「え、え、ぼ僕、男……だけど!」 「知ってるよ」 「えっと」 「君だって、男好きなんだろ?」 「は」 「菊池先輩と付き合ってるのかと思ってたらさ、別にも男いんじゃん」 「へ」 「一緒に帰った日、あいつとヤったの?」 逢沢先輩な笑顔だけど、目が笑ってない。 笑顔ってこんなに人を不安にさせるんだっけ? あ、やばいこいつマジだ。 つかあいつって、類のことだー! 「いやいや!誤解!あいつ弟だって!!」 「うっわー!何弟とヤってんの?」 「そ、そうじゃないって!!!」 「屋内くんって、そんな子だったんだーって思ったらさ、気持ち伝えたくなっちゃって。俺がどれだけ好きだったと思う?ここで再会できてマジ嬉しかったのになぁ」 あははって笑う逢沢先輩に違和感を覚える。 なんだこいつ!

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