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第188話 よっちゃん。
よっちゃん
小さい頃から一緒に過ごしてきた幼馴染の詩が、夏休みで地元に帰って来た。
小学校低学年の頃の詩は、女みたいな格好していて、女子とはがり遊んでたから気にくわなくてからかっていたりしたけど、高学年から気がついたら一緒にサッカーしたり川遊びをする仲になっていた。
詩は運動神経いいし好奇心も大勢、明るくていつもニコニコしていた印象が強い。
俺も運動したり、外で遊ぶのが好きだったから、気がついたらいつも詩と遊んでいた。
顔が小さくて童顔だから、回りの男子よりも幼く見えたけど、タフで頼もしい奴だ。
だから都内に進学するって聞いた時は、ぶっちゃけ凄い驚きでショックで寂しかった!
まぁ、詩の家は厳しい家だったし、美人のねーちゃん達は怖いし?
詩が進学するって話は前々から決まっていたみたいだったけどさ、幼馴染としては受け入れるのにそれなりの時間がかかったわけで。
久しぶりに詩に会えた時は、嬉しいかったけどやたらドキドキしてしまった。
変わらない笑顔が何だか眩しくて、柄にもなく緊張してしまったんだ。
本人は全然変わらないって言ってるけど、日焼けしてなくて肌が白いし、前より可愛らしさが増した気がして気持ちが落ち着かなかい。
か、可愛いくないか?
別に女らしいとかそんな感じはないけど、妙にしぐさに色っぽい時があって、心がざわついた。
詩の話を聞いて好きな人がいるからだと感じたとき、凄くショックを受けて傷ついた自分に戸惑う。
ンだよ……彼女か。クソ……変わったのはそいつのせいか。
自分の物を奪われた感覚が襲い、知らないそいつに嫉妬する。
面白くねぇ。詩は俺の幼馴染だぞ!
隣でスイカを美味しそうに食う詩が眩しかった。
弓女の奴が目の前で詩を夜祭りに誘っているのを見ていて、めちゃめちゃムカついた。
ざけんなこのあま!!詩が優しいからって、俺を差し置いて何を強引に約束取り付けてんだ!
詩の友達も来るって言ってたけど、俺だって詩と夜祭り行きたい!
遠慮なんかしてられなくて、詩が考える隙も与えず約束をしてしまった。
詩の一番は俺だ!!
俺だって!詩と少しでも一緒にいたい!!
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