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第187話

「詩ちゃん久しぶりー!」 「弓女ちゃん」 道場の方から走ってきた女子は、一つ下の中学3年生の梅田弓女。 弓女ちゃんも道場に、なぎなたや華道を習いに来ている生徒で、昔馴染みの友達だ。 ボブショートが良く似合う、可愛い妹みたいな存在。 「久しぶりー!弓女ちゃん髪切ったねー」 「やっぱりわかった?さすが詩ちゃんー!そうなの、暑いから少し短めにカットしてもらったんだ」 「うん、暑いもんねー!弓女ちゃんに良く似合う」 「えへへ……有り難う!」 「……お、俺は、さっぱりわからない」 ため口つきながらよっちゃんが呟いた。 「はぁ~よっちゃんはぁそういう女の子の変化には疎いよね本当。だから女子にフラれるのよ」 「はあ?フラれたんじゃない!俺がフったんですー!」 「やー!何それ、開き直り?酷すぎ最低!みかちゃん凄い泣いて大変だったんだから!」 「そんなの俺に関係ないだろー!」 「」 ほう?何だかよくわからないけど、俺のいない間にこっちでも色々あったみたいで、よっちゃんと弓女ちゃんがいい合うのを、スイカをシャモシャモ食いながら黙って聞いていた。 ふむふむ……断片的過ぎてよくわからない。 けど、やっぱりよっちゃんってモテてるんじゃん。 「あ、そうそう!詩ちゃん!お祭りは弓女と一緒に行こうね!」 「ン?」 「お盆にある夜祭りよ!お盆もいるんでしょ?弓女楽しみにしてるから」 「え、え、夜祭り?お盆に友達来るんだけど」 「えー!じゃあ、その友達も一緒でもいいけど……友達って男の子?女の子?」 「男」 「なら大丈夫!可愛い浴衣買ったから!楽しみにしててねー!」 ブンブン手を振る弓女ちゃんは、ウキウキしながら立ち去って行った。 何が大丈夫なんだろう。あ、相変わらず弓女ちゃんは強引だ……どうしようかな。 「……じゃぁ俺も一緒に行くわ!夜祭り」 「え、よっちゃん?」 「東京から友達も来るんだろ?人数は多い方がいいじゃん。弓女が詩と行くっていうなら俺も詩と行くわ!ダチだしな!」 「あーっと…もしもし?マジで?」 「マジで!夜祭り……うん!楽しみにしてる!」 「お、おおう……」 お盆の夜祭りは霧緒と二人で行こうと思ってたのに、まさかそんなことを言えるはずもなく……

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