187 / 506
第187話
「詩ちゃん久しぶりー!」
「弓女ちゃん」
道場の方から走ってきた女子は、一つ下の中学3年生の梅田弓女。
弓女ちゃんも道場に、なぎなたや華道を習いに来ている生徒で、昔馴染みの友達だ。
ボブショートが良く似合う、可愛い妹みたいな存在。
「久しぶりー!弓女ちゃん髪切ったねー」
「やっぱりわかった?さすが詩ちゃんー!そうなの、暑いから少し短めにカットしてもらったんだ」
「うん、暑いもんねー!弓女ちゃんに良く似合う」
「えへへ……有り難う!」
「……お、俺は、さっぱりわからない」
ため口つきながらよっちゃんが呟いた。
「はぁ~よっちゃんはぁそういう女の子の変化には疎いよね本当。だから女子にフラれるのよ」
「はあ?フラれたんじゃない!俺がフったんですー!」
「やー!何それ、開き直り?酷すぎ最低!みかちゃん凄い泣いて大変だったんだから!」
「そんなの俺に関係ないだろー!」
「」
ほう?何だかよくわからないけど、俺のいない間にこっちでも色々あったみたいで、よっちゃんと弓女ちゃんがいい合うのを、スイカをシャモシャモ食いながら黙って聞いていた。
ふむふむ……断片的過ぎてよくわからない。
けど、やっぱりよっちゃんってモテてるんじゃん。
「あ、そうそう!詩ちゃん!お祭りは弓女と一緒に行こうね!」
「ン?」
「お盆にある夜祭りよ!お盆もいるんでしょ?弓女楽しみにしてるから」
「え、え、夜祭り?お盆に友達来るんだけど」
「えー!じゃあ、その友達も一緒でもいいけど……友達って男の子?女の子?」
「男」
「なら大丈夫!可愛い浴衣買ったから!楽しみにしててねー!」
ブンブン手を振る弓女ちゃんは、ウキウキしながら立ち去って行った。
何が大丈夫なんだろう。あ、相変わらず弓女ちゃんは強引だ……どうしようかな。
「……じゃぁ俺も一緒に行くわ!夜祭り」
「え、よっちゃん?」
「東京から友達も来るんだろ?人数は多い方がいいじゃん。弓女が詩と行くっていうなら俺も詩と行くわ!ダチだしな!」
「あーっと…もしもし?マジで?」
「マジで!夜祭り……うん!楽しみにしてる!」
「お、おおう……」
お盆の夜祭りは霧緒と二人で行こうと思ってたのに、まさかそんなことを言えるはずもなく……
ともだちにシェアしよう!