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第190話 *
霧緒
詩の実家に向かうべく、電車を乗り継いで行くと、都会的な街並みから徐々に緑が増え、田舎の風景が広がっていく。
車窓から眺める景色はとても新鮮で悪くない。
詩が帰省している間は、お互いに毎日連絡取り合っていたけど、それでも1週間以上会えないとなるとやっぱり寂しい……
寂しいなんて俺も思うんだなーっと景色を眺めつつ思う。
詩に会えるのが何よりも楽しみだ。
でも……
聞くところによると、詩の姉二人がかなり個性的みたいで少し気になる。
詩の説明がどこまであってるのかわからないけど、萩生家には心してちゃんと向き合っておかないといけないと思っている。
4ヶ月前は夏休みに誰かの家に……しかも実家に宿泊するとか想像もしてなかったな。
進学するにあたり、詩が隣に引っ越して来てから俺の生活は変わってしまった。
まさか……
まさか自分が男を好きになるとは思わなかったし、しかもびっくりするくらいベタ惚れなんですけど、何だろうこれ。
あんなに自宅に人が来るのも嫌がっていたのに、詩は別で、むしろずっとここに居ろって思うくらいなのが笑える。
優しげで爽やかな印象の詩だけど、見てるとリアクションがいちいち面白い。
考え事をしているときは大体八割は妄想で二割は晩飯のことだ。
顔がデレてるときは俺のことを考えてる(カッコいい俺の彼氏ヤバいとかうわ…エロ!とか無意識に呟いてる)し、たまに献立で悩んだりもしている。
つき合い初めてみると、意外と頑固でムカつく時があるけど、そういう一面がまた貴重で可愛いと思ってしまう。
はいはい、俺ってヤバい。
知ってる!
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