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第5話
「岬。物足りない?」
雄馬がそう言って、勃起したペニスを俺の尻の割れ目に擦り付けた。弾力のあるそれが、ローション塗れのアナルを滑る。
くすぐったい……!
「ひゃんっ」
自分の出した甲高い声に驚いて、俺は慌てて口を抑えた。なんだ、これ。AV女優みたいな声、出た……。
「岬、先っぽだけ、入れてもいいか?」
耳元で囁かれ、カッと全身に熱が広がった。たぶん、首や背中が赤くなっている。
うんって言いたい。早くひとつになりたい。でも、ちょっとだけ怖い。
「ダメだっ。まだ指3本しか入ってない。お前の、デカいから……裂けちゃうかも」
「っ!」
雄馬が息を飲む。それから俺の太ももの付け根にあるストラップを引っ張り、バチンと鳴らした。
「ああっ!?」
バンドの振動が股間に響いた。思わず前を押さえて、雄馬を睨む。
「涙目、えろ……」
「馬鹿っ」
雄馬は楽しそうな顔で、また俺のナカに指を入れる。1本、2本、3本。そして4本。
「雄馬、そのままじっとしてて……」
「ん? ピストンしたほうが気持ちよくねーの?」
「ん、それはちんこでして……」
「っ!?」
後ろの雄馬が固まったことにも気づかず、俺は脱力することに集中する。枕を抱え、深呼吸。ゆっくりと括約筋をくぱくぱさせる。
背後から雄馬がじっと見ている。でも、ちゃんとやったほうがいいはずだし……。
それにちんこを見せるくらいなら、尻見せるほうが何倍もマシだ。
「雄馬……」
俺は尻を小さく揺らした。指を突っ込んだままの雄馬が、鼻水を啜る音がした。あれ、クーラー効きすぎてる? 俺は興奮と恥ずかしさで体温上がってるからわからない。
後ろから抱き付かれ、背中や首筋にいっぱいキスされた。
そして尻たぶを左右に広げられる。
雄馬の亀頭が、アナルにグッと押し込まれた。
「ひぃぃんっ!」
「痛いか!?」
「ちがっ、でもっ、もう抜けぇっ」
「痛くはないんだな?」
「お前のっ、おっきくて、圧迫感すごいぃ……っ。入り口じんじんするから、1回、抜けぇ!」
「っ!?」
確実に固まった雄馬は、でも、そのままそろりそろりとナカに進む。さっき凝りがあると言っていた場所に当ててくる。
「えっ? あ、あ、あっ……」
俺のナカが勝手に蠢動し、ペニスを貪る。雄馬が俺の腰をぎゅっと強く掴んだ。暴発しそうで耐えているのだろう、でも俺にそれを理解する余裕はない。
雄馬が呻きながら、俺のペニスをジョック・ストラップのポーチ越しに触った。
プラスチック製カップの、コツコツした感触が分かったはずだ。
「あっ、そこ触るなぁっ!」
「え、なんで? 触ったほうが気持ちいいだろ?」
後ろから手探りで探られる。ウエストバンドを下にずらされた。ついに、俺の子どもちんこがピョコリと顔を出す。
「あ、あっ、やだぁっ! 触るなぁ……っ」
「なんで?」
なんでじゃねーよ! 触らないって約束したくせに! 道路で言ったから、もう忘れてるのか!?
もうやだ。せっかくいっぱい計画したのに!
結局、俺のちんこのせいで!
「俺のちんこ、小さいぃ……こんなふうに笠増ししてるの、お前に知られたぁ……っ」
涙がボロボロ出た。
隠してたのにっ! 知られたくなかったのにっ! もう終わりだ! 絶対終わった!
「岬……」
俺はこんなに絶望しているのに、雄馬のちんこがさらに膨らむ。
「あぁっ、なんでデカくすんだよぉ……っ」
俺は泣きながら腰をくねらせる。
もうやだ、こいつ。早く抜けっ! その前にちんこ触んなっ!
俺が泣き叫んでいるのに、雄馬はさらに奥へと入って来た。
「あっ、あっ、嘘つきぃ! 先っぽだけっ、先っぽたけって言ったのにぃ!」
鼻息の荒い雄馬が、ピストンを開始する。顔が見えないせいで、なんだか怖い。
「先っぽが入ったんだからいいだろ。そもそも煽った岬が悪い」
「煽ってないぃ……っ」
「それと、俺に秘密がバレて泣くの、ヤバすぎ」
俺の仮性包茎短小ちんこを弄りながら、耳元で囁かれた。背筋を何かが駆け抜けていって、ゾクゾクする。
俺の反応に気づいた雄馬が、クスリと笑った。ひどい。
「あー、好き」
そのちょっと掠れた声に、ナカが悦ぶ。俺は怒っているのに、雄馬のペニスをきゅうきゅうと締め付ける。
「ほら、岬」
雄馬がまた、耳元で囁く。さっきよりも低めの声をわざと出している。くそっ、意地悪モード全開じゃないかっ!
「岬が誘ってるだろ?」
「ちがっ、そんなことないぃ……っ」
「なぁ。このまま奥まで突いたら、めちゃくちゃ気持ちよくなれるぜ?」
「それは雄馬だけっ」
「そうかなぁ?」
また俺のちんこを揉まれる。余った皮をきゅっと根元に引き、亀頭を優しく出された。そんな優しさ、いらないぃ……っ!
「やっ、それやめろ! 放せよっ」
「どうして。男ならイきたいもんだろ?」
「おとこ、なら」
「そ。男ならフツーフツー」
「俺のちんこ、笑わない……?」
「何を? サイズなんて人それぞれだろ?」
「でも、皮被ってる子どもぢんこだし……」
「んんっ! いや、岬のことだから、ちゃんと清潔にしてんだろ? じゃあいいじゃん」
咳払いしてから、雄馬が言った。
「でも」
「病気ってわけじゃないんだしさ。俺、岬のちんこってだけで大好き。髪も目も、手も足も全部すき」
「雄馬……俺も、雄馬が好き」
涙腺がまた緩む。
俺のちんこ、好きって言ってくれた。俺が雄馬を好きなように、全身好きって言ってくれた……。
「雄馬、前から入れて。俺、雄馬の顔、見たいっ」
言った瞬間、ズルリと半分ほど抜かれ、そのままぐるりと反転させられた。俺が頼んだこととは言え、その素速さに付いて行けない
「ふぁぁんっ」
「岬、もっと気持ちよくなって?」
片手で子どもちんこを扱かれ、どちゅどちゅと遠慮なく奥を穿たれる。俺は足を雄馬に絡ませ、ひたすら啼く。
「あっ、あっ、あーっ!」
雄馬の顔なんて見れない。俺は頭を振り、快感をどうにか逃がそうと試みる。でも体はビクビクと震えるだけで、次から次へと絶頂の波が押し寄せる。
「岬っ、俺、もうっ」
「来てっ、雄馬! 俺、もうっ、早くぅ……っ」
もう快感に耐えられないから。
それが言葉になる前に、雄馬の熱い迸りがゴム越しにナカに放たれた。俺の白濁も、雄馬の手と腹を白く汚す。
「はあっ、はあっ、はあっ」
俺は仰け反らせた頭をベッドに預け、言葉もない。まだ余韻が残っていて、ナカは雄馬の少し小さくなったちんこにまだ絡みついている。
「岬……すごく良かった……」
「あっ……」
雄馬が抱き締めてキスしてきた。ナカだけじゃなく、全身がビクビク震えてしまう。
なんか俺、感じすぎじゃないか? 淫乱って思われるかな……。
そっと雄馬を見上げると、春の太陽みたいな笑顔を浮かべている。
◆
ちょっといちゃいちゃしてから興奮が収まると、二人してベッドに横になる。
「なぁ、岬。俺にフェラとかさせてくれなかったのってさ……」
「あー、うん。雄馬に幻滅されたらって思ったら……」
ちんこを触られた時の絶望感を思い出して、雄馬に擦り寄る。ぎゅっと抱きしめてくれる腕に、体の力が抜けた。
「岬、辛い思いさせてごめんな。いろいろ考えてくれてありがと。俺、岬に浮気されてるのかなって悩んでて……」
「えっ、なんで!?」
ガバリと起き上がると、雄馬が眩しそうに俺を見つめる。いや、明かりは点けてないし、カーテン閉めてるから薄暗いんだけど……どうした?
「俺には奉仕してくれんのに、岬のは触らせてくれないだろ? 誰かに操立てて誤魔化してんのかなぁ、俺に触られるの気持ち悪いのかなぁって思って、否定して。ずっとそんなこと繰り返してた。さっき、キスマークもわざと付けた」
「そっか。勘違いさせて、ごめん……」
最初はお試しで付き合い始めた。時々好きって言ったけど、俺は元々ゲイってわけでもないし、雄馬は不安だったのかな。
キスマーク付けてる時、怖い顔してたのは、居もしない浮気相手がキスマークに気づけばいいと思ってた?
「いや、いーよ! 拡張は俺の手でしたかったけど……」
「悪かったってば! 次からは、雄馬に相談する」
雄馬が、俺のケツもちんこも引っ|括《くる》めて好きになってくれて良かった。
ちんこ、金貯めて手術しようと思ってるけど……金が貯まったら相談しようかな。
そう思いながら、また雄馬の胸に顔を伏せる。
あー、いい匂い。雄馬の汗の匂い、好き……。
「俺はズルい男だからさ、岬がちんこを気にしてるのは、好都合かも。ひどい彼氏でごめん」
「え、好都合?」
「岬、俺以外に見せないでね?」
「見せるわけないだろっ」
何を馬鹿なことを! 雄馬って表面はイケメンで性格もいいけど、深く知るほどヘンじゃないか?
拡張したがるのも、変態臭いっていうか……。
「あ、そうだ岬。レザー・ストリング・パンツってのもあるんだけど、今度履いてみない? 男らしいと思うんだよなー」
「へー。どんなの?」
男らしいという言葉に反応した俺は、雄馬が検索してくれたスマホを覗く。
股間しか隠さないレザー部分と、細い紐だけのパンツ。
硬いレザーの質感が、股間を強調している。これ、ガチムチ体型なら格好いいかもしれないけど……。
俺が履いたら、ちんちくりんじゃないか?
「馬鹿っ! 変態っ!」
「えー、似合うって」
へらへら笑う雄馬をポカポカ殴りながら、やっぱり雄馬は、俺にとって都合のいい男だなって思った。
たぶん、破 れ鍋に綴じ蓋ってやつかな?
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