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第11話
「……はあ」
気だるい身体をなんとか奮い立たせ、夏樹は元の制服に着替えた。
腰が痛い。歩けない程ではないが、ズキズキした疼痛が途切れずに続いている。
(毎度やりすぎなんだよ、クソ教師……!)
彼の性癖はもう直らないだろうけど、それならせめて手加減くらいはしてくれないだろうか。こんな調子じゃ、夏の間に慢性的な腰痛持ちになってしまう。
「フラフラだな。肩貸そうか?」
だが当の市川は全く反省している様子もなく、涼しい顔で手を貸してくる。
夏樹は素っ気なくその手を払い落とし、ムスッと口を尖らせた。
「……ていうか先生は、セックスしか頭にないんですか」
「は? なんで?」
「だって、付き合い始めてからこういうことしかしてないじゃないですか。普通はもっとこう……あるでしょ、いろいろ」
「あ、それってデートしたいってこと? 珍しいな~、夏樹がそんなこと言い出すなんて。可愛いねぇ」
「べ、別にそういう意味じゃないです。セックスばかりだと体力的に厳しいってだけで」
「わかったわかった。じゃあ、夏休みになったらデートしよう」
「えっ……?」
「好きなところに連れて行ってやるぞ~! どこがいい? 海? 山? 遊園地?」
「……全部先生の奢りなら、デートしてあげてもいいですけど」
「奢りに決まってるだろ。何ならちょっと奮発して海外旅行でもいいぞ」
「じゃあ、考えときます」
海だろうが山だろうが遊園地だろう海外旅行だろうが、どの道最終的にはセックスに突入するに決まっているのだが。
(ホント、変態教師と付き合うのも大変だよな……)
そう思いながらも、心のどこかで期待している自分がいる。
なんだかんだで俺もそこそこの変態かも……と、夏樹は内心認めざるを得なかった。
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