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第7話

アルトが目を見開きアリアナを見つめると、アリアナはアルトの両手を握り締め 「大丈夫!アルトなら、立派な皇后様になれるわ!」 などと言ったので、アルトは目の前が真っ暗になった。 (他人のBLは楽しいが、自分がBLするのは話が違う!) 何度も言うが、見た目は若くても中身はアラフィフのアルト。 前世で自分が描いてきたBLの数々が、走馬灯のように流れて行く。 (確かに、フランシスはイケメンだ。眺めている分には幸せだが、恋愛対象では無い!) 心の中でそう叫び、会議室の机をバンバンと叩きたい気分になっていた。 そもそも前世時代のアルトの推しは、病弱で薄幸の美少年ノアだった。 身体は小さく細身で華奢。 その美しさは美のヴィーナスさえも、嫉妬する美しさ。 (それに、どうせBLするなら絶対に自分が攻めと心に決めていたのに!!) アルトは自分の容姿が、ノアに負けず劣らず絶世の美しさなのを棚……いや、高層ビルの上に乗せてそう考えていた。 (フランシスが相手となると、絶対に僕が受けじゃないか!) 問題点はそこでは無いと思うのだが、アルトはそう考えてプルプルと首を横に振り続ける。 「アルト!王家に嫁がなくちゃ、一生、教会の中なのよ! (わたくし)とも、一生会えなくなってしまうのですよ!良いのですか?」 目に涙を浮かべるアリアナに、アルトは自分の方が泣きたくなった。 『アルト、良いかい?』 『フランシス様……優しくして下さいね』 大量の真っ赤な薔薇の花が咲き乱れる中、裸体で抱き合うアルトとフランシスを想像して真っ白になる。 「アルト、君を世界一幸せな花嫁にすると誓うよ」 キラッキラの笑顔を浮かべ、フランシスがアルトに微笑み掛ける。 「ま……待ってくれ!そもそも、僕は男だ」 「もちろん知っているよ。でも、きみの美しさは世界中のどんな女性も敵わないよ」 フランシスはアリアナからアルトの右手を奪うと、恭しくキスをした。 「フランシス様、貴方の后になりたい人はたくさんいます。何も、好き好んで男の僕を選ばなくても……」 苦笑いするアルトに、フランシスは微笑み 「アルト。この世界で、君の代わりなんて何処にも居ない。しかも、太陽の神子となると話は別だ」 そう言って、爽やかな笑顔を浮かべた。 そこでアルトは考えた。 「もしかしたら、何かの間違いだったのかもしれないですよ!そもそも、僕が太陽の神子なんて」 そう、全ては間違いだった事にすれば良いんじゃね?的な、本当に軽い気持ちで言ってしまったのが運の尽き。 それを聞いていた神官達が 「いくら太陽の神子の言葉だとしても、聞き捨てならぬ!」 と大騒ぎになり、アルトは神官長やフランシス。 そしてアリアナ達が見守る中で、聖なる泉に入る事になってしまったのだ。 (くっ!失言のせいで、思わぬ大騒ぎになってしまった) アルトが落ち込んでいると、聖なる泉に神官長が現れた。 その美しさに、アルトは思わず声を失う。

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