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第20話
入学式はクラス毎になっており、何故か同じクラスになったフランシスがアルトの隣を占拠していた。
学園長の挨拶を聞いていると、突然手を握られ
「アルト。僕はこの3年間で、必ずきみを僕の虜にしてみせるよ」
キラッキラの笑顔を浮かべるフランシスに、アルトが苦笑いしながらフランシスの手を離そうとしていると
「そんなに嫌がられていたら、無理なんじゃないの?」
と、フランシスの反対側の席から声が聞こえた。
アルトがそちらに視線を向けると、ブロンドの肌に琥珀色の瞳。
長い黒髪を後ろで1つに束ねている、エキゾチックなイケメンは7人の騎士の3人目。サミュエル・デーヴィスだ。
(うっひょ~!!妄想より、遥かにイケメン!!)
皮肉な笑顔さえもエキゾチックに見える美貌。隣国の王子で、身分を隠してこの魔法学園に入学したツンデレ王子。
アルトは自分が生み出したイケメンに、涎を流しながら魅入ってしまう。
すると
「きみはイケメンを見たら、みんなにそんな顔をするのだな」
不愉快そうな声に見上げると、神官長が不愉快そうな顔をしてアルトを見下ろしている。
「イケメンは愛でて、心の栄養になるんですよ!神官長のように美しい人も、大好きですよ」
微笑んで答えたアルトに、神官長が真っ赤になって
「すっ……好きとか、簡単に言うな!」
そう呟くと、怒って行ってしまった。
「アルト!僕は?僕は?」
フランシスが笑顔で自分を指差し聞いて来たので
「フランシスだって、眺める分には大好きだよ。でも、それと婚約は話が違うから」
そう答えたアルトに、フランシスがしょんぼりしている。
(こうしていると可愛いけど、油断ならないからなぁ~)
アルトが苦笑いしていると、学園長の挨拶が終わり、7人の騎士の四人目の生徒会長で俺様生徒会長のギルフォード・イクシオスが現れた。
これで四人が揃った。
一人目は隣で隙あらばアルトに触ろうとするフランシス。
二人目は昨日からアルトの身の回りを世話しているメイソン。
そして三人目は、フランシスとは反対側に座るエキゾチックな美形のサミュエルと壇上の四人目のギルフォード。
あと三人か……と考えていると、ジッとアルトを見つめる視線を感じて視線を向けると、今時そんな眼鏡の人居る?と聞きたくなる程に牛乳瓶の底のような分厚いメガネと頬にそばかす。髪の毛は水分の無さそうなバサバサの黒髪を三つ編みにした、いかにも絵に書いたような所謂「ブス」がアルトをジッと見つめている。
(え?あんなキャラ、ツキナナに居たかな?)
アルトが首を傾げると
「アルト、彼女は月の巫女のマリアンヌだよ」
と、そっとフランシスが耳打ちした。
「な、なんだってぇ~!」
思わず叫んでしまい、教壇のギルフォードに
「そこの新入生、静かにね」
そう言われてしまい、クスクスと笑われてしまう。
(待て待て待て!マリアンヌは金髪とブルートパーズの瞳をした美少女の筈。なんであんなブス……もとい、個性的な女性になっているんだ)
アルトが混乱する中、入学式は厳粛なムードの中で終わって行った。
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