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やわらかなオレンジがかった灯りに照らされた孝弘の体はやたら色気を出している気がする。温かい湯に打たれながら全身の泡を流したら、そのまま孝弘に腰を引き寄せられた。
「ここで、するの?」
腰が密着して孝弘がすでに昂ぶりはじめているのに気づく。孝弘がこめかみに口づけてかるく耳を甘噛みする。
「してもいい?」
「いいよ。…どうしたの?」
「祐樹がかわいいこと言うからじゃんか」
「かわいいこと?」
「同室になりたかったとか、勿体ない事したとか」
それで煽られてしまったらしい。
「だって、学生生活って何となく特別な感じがするからね。なんでかな?」
「うーん…。やっぱ期間限定だからじゃない?」
「そっか。そうかも」
「でも俺は祐樹と期間限定のつもりはないから」
はっきり言い切った孝弘に、祐樹はどうしようもなく嬉しくなる。どうしてこんなに素直に気持ちを言ってくれるんだろう。
「うん、おれもそうだよ」
軽く口づけあいながら互いの体を触りあった。手のひらから孝弘の体温が伝わって、祐樹の体温も上がっていく。
孝弘の舌が入ってきて敏感な口蓋を撫でられた。ぞくぞくと背筋を電流のように快感が駆けあがってくる。何度も小さなキスを繰り返し、浅く深く探り合った。
「…ん、…ふっ…」
息つぎの合い間に吐息がこぼれた。
大きな手の中に包まれて何度も擦られて、祐樹の腰が無意識に揺れる。ねだるように擦りつけてしまって自分でもはしたないと思うけれど、そんなふうに乱れる姿を見せたって構わない。
孝弘は楽しげに微笑んでいるだけで、揶揄することなく手を動かし続けている。祐樹の手も同じように孝弘を愛撫して、二人で一緒にテンションを上げていく。
「気持ちいい?」
「ん、気持ちいい。孝弘は?」
祐樹の手の中のものもさっきからぐっと質量を増していて、その反応が嬉しい。欲しがってくれていると思うと、とても嬉しい。大好きだと思う。
「うん、俺も。もっとしたい」
かりっと耳を噛んだ孝弘の声が、尾てい骨に響く。そのまま耳たぶを甘噛みして鎖骨へと唇が降りて行く。シャワーを止めた手が胸に当てられて指先がつんと乳首をつついた。
そのままくにくにと弄られて、祐樹はぴくんと体を固くした。じわじわとした快感がそこから広がっていく。
湯を止めたので、手にこぼれてくるぬめりは流れて行かずにまとわりついて、よりいっそう滑らかな動きを助けた。
孝弘が胸から背中に手を回して背骨に沿ってなで下ろし、その先の秘めた場所に辿りつく。指先を割り込ませてやわらかくマッサージするように押された。
「孝弘、それしないで」
「なんで? 触りっこだけ?」
祐樹と目を合わせながら不満げにちょっと唇を尖らせるのがかわいかった。
「違う。中触られたら、すぐいっちゃいそうだから」
「いいのに」
「ダメ。じっくり繋がりたい」
耳元で囁いたら「だな」とひと言言って、さっさと大きなバスタオルで祐樹をくるんだ。もつれあうようにバスタオルごとベッドに転がって、横抱きに抱き合った。キスを交わしながら祐樹は小さなボトルを渡した。
「何だ、用意してたの?」
「当たり前でしょ? 孝弘に会えるのがわかってるのに」
「俺に会えるから持って来たんだ?」
「うん、したかったから」
「おー、今なんかめっちゃ萌えた」
ちゅっと鼻先に口づけたらローションをまとった手にぬるりと包みこまれて、その感触にぞわぞわと腰のあたりが震えた。
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