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 それからしばらくして、本社からの郵便物の中に社内報を見つけた。B5サイズのまあまあ立派な冊子で、祐樹が言ってのはこれかと思いながらページをめくる。  各部署の社内レポートや売り上げ分析、新規事業の紹介、諸々の連絡事項や人事異動のお知らせなど、意外と盛りだくさんな内容だった。  祐樹が依頼されたと言う駐在員レポートは見開き2ページで、写真が大小合わせて5枚と駐在員の書いた文章が載っていた。  今月のレポートはアルゼンチンのコルドバだ。青空市場で人々の笑顔が生き生きとした写真が大きく載っていた。別の一枚はカーニバルなのかカラフルな衣装が賑やかだ。  記事のほうは日本との習慣の違いや食事のこと。簡単な家庭料理の紹介があってレシピと出来上がりの写真も載っていた。  肉と豆の煮込み料理でおいしそうだった。今度作ってみるか? 「そう言えば社内報の記事って、どうなった?」 「あ、一昨日、広報から記事と写真ありがとうございますってメール来てたよ」  祐樹の書いた文章は孝弘も読んだが、大連の歴史にさらっと触れて、最近の街の変貌ぶりや庶民の楽しみについて書いたものになっていた。   掲載は年が明けて2月号の話だから、どんな写真が使われるかはまだわからない。文章のチェックはあるが紙面の確認などはないらしいから、記事そのものの出来上がりは現物が来てから見ることになる。  祐樹は街で撮った写真を渡しに行くつもりでいる。また市内散歩になるだろうけど、それも楽しみだと孝弘は社内報を閉じた。  

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