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 やわらかく乳首を吸われるとぴくっと肩が揺れた。じわじわと快感が広がって、昂ぶっていくのがわかる。 「これ、好きだよな?」 「うん、気持ちいいよ」  素直に答えたら、下肢に手が伸びてきた。舌先で捏ねるように乳首を愛撫されながら同時に性器を扱かれると、一気に体温が上がった。  祐樹も同じように孝弘に手を伸ばして、二人で一緒に高めあう。  体温は上がっているけれど、ベッドにいても乾燥した大連ではほとんど汗はかかない。肌はさらりとしたままだ。下肢もあまり濡れてこない。 「ねえ、ジェル使っていい?」 「え? ……いいけど」  祐樹の問いかけに戸惑いがちな返事が返った。あ、ひょっとして誤解した? 「抱きたいってことじゃなくて、ジェル使ったほうが滑りがいいかなって」 「ああ、なんだ。びっくりした」  ほっとした顔をするからさらに訊いてみた。 「抱きたいって言われたと思った?」 「思った。そうかなって」 「でも孝弘、いいけどって言ったよね?」 「あー、まあ…。祐樹も男だし、今日はそんな気分なのかなって」 「へえ…。いいの?」 「いや、わからないけど。さっきはちょっと勢いでああ言ったけど」  焦ってしどろもどろな孝弘がめずらしくて、祐樹は声を上げて笑い出した。  孝弘が困ったような拗ねたような顔で言い募る。 「いやだから、祐樹が本気で抱きたいなら考えなくちゃって思ったんだって。今まで気がつかなかったけどもしかして我慢してたのかなって、ほんの一瞬の間にめちゃくちゃ考えたんだって」   「え、なんか嬉しい。ほんの一瞬でそんなに考えてくれて」 「やー、でも冷静に考えたら、どうなんだろ? ていうか、ホントのとこ祐樹は俺を抱きたいと思ったことあんの?」  孝弘は毒気を抜かれたようにすっかり手を止めてしまい、ごろりと横抱きにされた。全館暖房のおかげで寒くはないが、布団をかぶった方がいいんだろうか。  どうにも予想外の展開になってしまった。ただ潤いを足そうと思っただけなのに。  まあ話をして一緒に寝るだけでもいいか。夕食の時からなんだかおかしな話題になってたし、こんな日もあるだろう。裸でぴったりくっついているだけでも気持ちがいいし。 「うーん、特にないけど」    恋愛に関して受け身な祐樹は、いつも相手から告白されてきた。恋愛関係じゃなくても、相手から誘われて関係を持つことが多く、どの相手も祐樹を抱きたがったから抱くほうの経験はない。 「最初から抱かれたいほう?」 「うん。どっちもいけるとか相手によって変わるって人もいるけど、おれは抱きたいって思ったことないな」 「そうなんだ」 「でも孝弘が抱かれたいっていうならそっちもできると思うし、そうしたいなら試してみる?」  からかうように言ってみたら、孝弘は苦笑して首を横に振った。 「ごめんな、遠慮しとく。俺やっぱ色々したい方だから」 「うん、おれもその方がいいな」  話しながら背中を撫でていた孝弘の手がするりと降りてきて、腰を抱き寄せられた。 「あ、するつもりあったんだ」 「あるよ。せっかく休み前の夜なのにしないわけないだろ」  ちゅっとおでこにキスをして訊ねる。 「祐樹は? その気なくなった?」 「そんなことない」 「よかった。なくなったって言われても、その気にさせるつもりだったけど」  平然と言った孝弘がチューブを取って自分と祐樹の右手の平にジェルを出した。とろりとした感触がまとわりつく。温感タイプのジェルは不思議なぬるさで手のひらに留まった。 「祐樹も触って」 「うん」  お互いの熱を育てあいながら目の前の孝弘の首筋を甘噛みしたら、孝弘はくしゃくしゃと祐樹の髪をかき回した。 「時間あるからゆっくりしよう」  会社員の平日は何かと忙しくて、なかなか時間が取れない。だから週末くらいはこうしてのんびり抱き合いたい。孝弘もそう思ってくれていて嬉しかった。  二人で高め合いながらゆっくり快楽を分け合った。

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