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撮影会二次会(3)

そしてまた、何事もなかったかのように、 ハルトは僕の顔を描き続けながら、言った。 「ねえ、悦かった?」 「…え…は、はい」 いやだって、あんなん晒しておいて 悪かったなんて言えるわけないじゃないですかー 「そっか…やっぱカオルは良い子だねー」 「シキは平気でバッサリ切り捨てたからな」 カイが言った。 「…シキ?」 「前のボーカルの子…」 ハルトが続けた。 「メンバーはともかく、俺とかスタッフは、眼中にない扱いだったから…」 「…」 そうだったのか… なんだ、それ先に言ってくれたら、お断りしたかもしれないのにー 「できた!じゃ、これに着替えてみてー」 ハルトはコロコロから、黒い衣装を出した。 それは、英国貴族風をイメージしながら それをラフに、もっと柔らかい生地で しかもシシメントリーなデザインの… でもやっぱり、丈の長いワンピースタイプだった… 既にシャツしか着てませんでしたので… 着替えはすぐに終わった。 「わああ〜やっぱ、黒もいいわー」 ハルトの目が、またキラキラ輝いた。 あーこんな嬉しそうな顔見たら… そんなお断りなんて、できないよなー 「うん…黒も、良いですね…」 酔っ払いショウヤも、テンション上がっている風に見えた。 「ちょっと改めて、撮らせてください」 「…その前に、鏡見てきていいですか?」 「もちろん!行ってきて、見てきてー」 ハルトに促されて、僕は洗面所に行って、 く黒い自分の姿を見た… うわーまたこれ、誰やん… そこに映っていたのは、 また白い姦られちゃった天使とは全然違う… 黒い…なんだろう… 生贄にされた少年が、悪魔と契約を交わして豹変した みたいな? 差し当たり…やっぱり… 僕の知ってる僕とは別人物だった。 やっぱハルトさん、すごい! 「復讐に燃える黒子爵…」 「小悪魔降臨」 「薔薇の一族の生き残り」 またそれぞれが、勝手なイメージを並べた。 そして再び、ショウヤ先生による撮影会が始まった。 先生、だいぶ酔っ払ってますけどね… カシャカシャッ… 「偉そうに、こっちを指差してください」 「両手を上に上げてください」 「後ろ向いて、振り返ってニヤッとしてください」 酔っ払いながらも、彼は色々と注文をつけてきた。 僕もだいぶ酔っ払いだったが… さっきの白のときとは別人物を演じることが、 それはそれで…ちょっと楽しくなってきていた。 カシャッ… 「カオルさん、めっちゃ良いです…」 そしてショウヤは、 カメラを下ろして…僕に近寄ってきた。 「僕も…カオルさんとやりたいです」 あーもう 絶対そうなりますよね… しかも酔っ払いショウヤは とんでもない事を言い出した… 「黒いカオルさんに犯られたいです」 どああーっ 「あー、ショウヤって基本ウケだもんなー」 それを聞いたあっちの人たちが、 まためっちゃ楽しそうに話に入ってきた。 「復讐してしまえ」 「一族に加えてしまえー」 「よし、そんなら俺、手伝ってもいいよね」 酔っ払いサエゾウが、こっちにやってきた。 「ね、ショウヤ…いい?」 「…はい」 と、サエゾウは、すぐにショウヤの顔を押さえて 彼に口付けた。 ショウヤもサエゾウの背中に手を回し… もう2人とも、全然口を開けたままな感じで お互いの舌を求め合った。 「んん…ん…ん」 サエゾウはゆっくり口を離れると、 囁くようにショウヤに訊いた。 「どんな風にされたいの?」 「刻印を押されて、一族に加えられたいです…」 何か意味の分かんない事言ってるぞ… 「…」 サエゾウはちょっと考えてから… ショウヤを羽交い締めにして、僕の前に立たせた。 そして、更に意味の分からない事を 正々堂々と言った。 「こいつは、お前の最愛の人を殺した相手の息子だ。お前はそいつに復讐するためだけに、こいつを一族に加えようとしている。しかし、こいつはうっかり…お前の事好きになってしまった…」 はあ…そーですか… 「…お願いです…僕を好きなようにしてください」 ショウヤもノリノリだった。 と、カイが… 自分のスマホから、TALKING DOLLの曲を流した。 「…」 そーいえば、そんなテーマの歌があったな… 何とかの一族のパクリかなと思いながらも、 その世界に、その映像に浸って歌っていた。 そうか…僕は今… ○○ガーを殺された◯◯ンなんだな。 彼は、復讐心に燃えて強くなったんだ。 そして今…こいつを いたぶりながら仲間に加えようとしてるんだ なんだろう… この曲は、僕にスイッチを入れてしまった… 所詮、僕もこの人たちと同じ一族だということか…

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