83 / 398
PV撮影に向けてのリハ(3)
そして、怒涛のヤバい4曲通しが始まった。
ショウヤは、カメラを動画に切り替えて、
感性を研ぎ澄ましていた。
あのレンズの向こうまで、この風景が届くだろうか…
僕は、とにかくショウヤに、
伝える事を考えながら歌った。
そう言えば、僕の場合は…
作曲者と1つになることで、
その曲の真実が見えたんだったな…
もしかして、ショウヤさんとも、
もっと何度も身体を重ねる事で、
伝わりやすくなったり…するんだろうか…
僕はうっかり…そんな風に考えてしまった。
そんな事を考えている間にも…
演奏隊は、僕の身体を愛撫していった。
本当にそれは、見えない指となり舌となって…
僕の身体の弱い部分に絡みつき、
いやらしく這いずり回っていくのだ。
「…ああ…」
絶望感の中で、もうひとりの僕に犯され…
宵待ちの月を見上げながら挿れられ…
真夜中の庭で、寄ってたかって愛撫され…
最後の曲の前にはもう、
僕はまさに、フニャフニャになってしまった。
「…」
ショウヤは、その様子をずっと、
カメラのレンズ越しに凝視していた。
容赦なく最後の曲が、始まった。
僕は必死にマイクスタンドに縋り付いた。
イントロのベースのリフと、
それに乗った、チャラーンていうギターが…
そんな僕を、了解から更に愛撫してきた。
ビクビクと震えながら…
僕はその、妖しい宴の場に放り込まれた。
そして最後は…
窓の外の、あなたの手を取った。
そのとき、僕の窓のの外に現れた「あなた」は…
ショウヤだった。
僕は、歌の世界の中で…
ショウヤと手を繋いで奈落の地の底へ飛んだ。
ジャーン…
曲が終わった。
千篇一律のごとく…
僕はその場にバタッと倒れた。
…と、
向こうーの方でもバタッと倒れた人がいた。
「ショウヤ?!」
驚いたハルトの声がした。
ハルトは、ショウヤに駆け寄った。
「なに、どうしたの…」
「…だって…カオルさんが…」
「カオルが…?」
「…僕の手をとって…くれたから…」
「…」
「…なんかショウヤがワケ分かんない事言って、また処理必要に陥ってるー」
言いながらハルトは、
少し困った様子で、僕らの方に近付いてきた。
「…」
「…」
「はぁ…はぁ…」
「あーダメじゃん、処理必要な人しかいなかった…」
3人様とも…倒れるには至らないまでも、
重度の発情状態であるのは明らかに分かった。
「…カオル借りてっていい?」
「…」
3人は、ええー?っていう目でハルトを見た。
「だって、あんた達は、いっつも姦ってんでしょ」
「…」
ハルトは有無を言わせず、僕を抱き上げて…
ショウヤの方へ持っていってしまった…
ドラムから出てきたカイが、致し方なく言った。
「サエ…ヤらせて…」
「…うん」
何とかギターを下ろしたサエゾウは、
バタっとその場に仰向けに転がった。
そして自分で、自分のズボンを脱いだ。
カイはすぐに、自分のズボンを脱ぎ捨てると、
サエゾウの両足を開いた。
「…カオルみたいに中だけじゃイけないからね…」
サエゾウは、自分のいきり勃ったモノを握った。
「コレもちゃんとイかせて…」
カイは、それを自分の手に受け取りながら…
自分のモノを、サエゾウの秘部に押し付けた。
シルクもベースを下ろして、ズボンも脱いだ。
サエゾウは、そんなシルクを見上げた。
「いーよ、挿れて…」
そう言ってサエゾウは、口を開けて手を伸ばした。
シルクはゆっくり、サエゾウの首元に跨り、
自分のモノを、その口に押し付けた。
「サエに挿れるの…久しぶり…」
「…ん」
そんな感じで、
演奏隊が割と愉しそうに媾っているこっち側で…
ハルトは、必死にショウヤの肩を揺らした。
「…ほら、カオル持ってきたから」
「…え…」
「挿れるなり、挿れられるなり好きにしなさいよ」
「…ええっ…」
ショウヤは、必死に顔を上げると、
夢のような表情で…横に寝転がる僕を見た。
「…いいん…ですか?…」
「なんなら手伝ってあげる…」
ハルトはそう言って、僕のズボンを脱がせた。
「…んっ…んん…」
脱がされながら僕は、ビクビクと震えた。
「ショウヤも脱がしてあげよっか?」
「…あっ…ああ…大丈夫ですっ…」
ショウヤは必死に身体を起こして、
震えながら自分のズボンを脱いだ。
「あ…あ…カオルさん…」
そしてショウヤは、
思い切り僕の身体上に覆い被さってきた。
「…ショウヤ…さん…」
僕は力無く…小さい声で言った。
「…伝わり…ました?」
ショウヤはガバッと頭を上げて、僕を見下ろした。
そして、泣きそうな顔で言った。
「…カオルさんが…僕の手を取ってくれました…」
「…」
僕は、微笑みながら、小さく頷いた。
そして安心した表情で…再び目を閉じた。
よかった…ちゃんと伝わったんだ…
ともだちにシェアしよう!