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大事にされる(1)

真っ暗な中…僕は目を覚ました。 「…うーん…」 そして僕は、必死に記憶を手繰り寄せた… そーだ… 誰が何番だったクイズだったんだよな… 答える前に、寝ちゃったのか… 隣を見ると、シルクが向こうを向いて寝ていた。 僕は思わず彼の背中に顔を寄せた。 「…俺は何番だったでしょうー」 起きてたのか… 「…4番…」 僕は答えた。 「ピンポーン…」 言いながらシルクは、ガサゴソと、こっちを向いた。 「1番は?」 「…ハルトさん」 「2番は…」 「カイさん」 「3番…」 「サエさん…」 「すげー何で分かったの?」 シルクは本当にビックリした風に、 僕の目をマジマジと見た。 「ねー自分でもビックリするくらい、分かった…」 「…」 シルクは、僕の頭を抱き寄せると そっと…軽く僕に口付けた。 そして言った。 「…ごめんね…意地悪して」 「…」 「何か、やっぱ俺ら…妬いてたみたい」 「…ふふっ」 「お前が寝てから、皆で反省した…」 「…何で?」 「何で…って…」 「…だって…元々、玩具なんでしょ」 「…」 「自分で言うのもアレだけど…割と正しい使い方だと思うけどな…」 シルクは更に目を丸くした。 僕は続けた。 「…しかも、すごく気持ち良かったし…」 「そうだったな…」 「…」 「お前の事が好き過ぎて、玩具だって事…ちょっと忘れてたわ」 そう言ってシルクは、僕の身体を抱きしめた。 「…ホントに、気持ち…良かったんだ…」 「…うん…」 僕は少し恥ずかしそうに、頷いた。 「ショウヤのカメラはスゴいな…」 「…見抜いてた?」 「うん…お前だけじゃない、俺たちの事も…」 「へえー」 それから僕は、大きくアクビをして… 再び、目を閉じた。 そんな僕の様子を愛おしそうに見ながら、 ゆっくり何度も、僕の髪を撫でていたシルクも… ホッとしたような表情で、やがて…目を瞑った。 僕が再び目を覚ましたたとき… 辺りは、もう明るくなっていた。 隣を見ると…シルクがいなかった。 あれ…? 僕は、キッチンの方に向いた。 と、シルクは既に起き上がって、 キッチンで、昨夜の食器の洗い物をしていた。 僕はゆっくり起き上がった。 そして… とても静かにシルクに近付くと… バッと彼の背中に、抱き付いた。 「…っ…ビックリしたー」 シルクは、本気で驚いていた。 そのまましばらく、彼の背中に貼り付いていた僕は、 囁くくらいな小さい声で、訊いた。 「…しなくて…いいの?」 「…うん」 「…」 「…なに、したいの?」 「…ん…ううん」 僕はちょっと恥ずかしそうに、やんわり否定すると、 パッとシルクの背中を離れた。 それからまた、布団に戻って…ゴロンと横になると、 毛布をかぶって、目を閉じた。 キュッと水を止める音がして… シルクは、ゆっくりこっちにやってきて 布団の傍にしゃがみ込むと、 僕の髪を撫でながら、言った。 「大事にしとくって、サエと約束したからねー」 「…?」 僕は毛布から顔を出して、シルクを見た。 「…昨日、無理な使い方したから、今日は休ませといた方がいいだろ」 「…」 そういえば…ちょっとジンジンしてるかも… そう言いながらもシルクは、 結局そのまま、また布団に入ってきてしまった。 そして僕の頭を抱きしめながら、 足を僕の足に絡めた。 「チューだったら問題ないよな」 そう言ってシルクは、僕に口付けた。 「…ん…」 最初は軽く…まさに口を付けてるだけだったのに、 そのうちにやっぱり… どちらからともなく、舌を絡めてしまった。 心地良い彼の舌使いに、 僕はすっかり…ボーッとなっていた。 「またその顔…あんまり挑発しないでくれる?」 ゆっくり口を離れたシルクは、 そう言って、また僕の頭を抱きしめた。 「…シルクの…せいじゃん…」 言いながら、僕は片手を彼の背中に回した。 そして、彼の広い背中をゆっくり撫でた。 抱きしめていた腕を緩めると… シルクは、僕の顔を両手で押さえた。 しなくてもよかった。 ただ…ずっとこんな風に… シルクと身体を触れ合わせている時間が、 僕は愛おしくてたまらなかった。 「お前今…完全に俺のこと好きって顔してるけど、大丈夫?」 シルクが、ちょっと悪戯っぽい口調で言った。 「サエの前でも、そんな顔出来んの?」 「…うん…たぶん」 「…ふふっ…そっか」 シルクは笑いながら、また僕にそっと口付けた。 「たぶん大丈夫…」  僕は続けた。 「ショウヤさんの前でも出来ると思う…」

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