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第15話(R18)

 ホテルに着くと、リョウスケは部屋を見て、意外そうに目を見開いた。 「へぇ……言葉通り、いい所知ってるんだな」  その言葉に透は笑う。 「女性向け風俗やってる友達に聴いたんだ。安くて清潔感あるとこ。女の子はそういう所気にするからね」  貴重品をローテーブルの上に置いていくと、準備もいるし、オレが先にシャワーでいい? と透は尋ねた。するとリョウスケはニヤリと笑う。 「準備、俺も手伝ってやろうか?」  透はその言葉と彼の表情にドキリとした。ヤリモクなのに優しい奴だな、とそんなことを考えて、透はリョウスケに抱きつく。 「リョウスケ、実はやさしーひと?」 「いや。早くヤりたいから、どうせならプレイの一環にすればいいと思っただけだ」  なんだー、と透は口を尖らせる。それでも浴室に促す背中の手は優しいから、本当に優しいひとなんだな、と思った。 「そんなにしたいの?」  敢えて出す甘えた声。前はあのひとの前でしか出さなかった声だ。けれどこの声は、あのひとには効かなかった。 「これでも落ち着いてきた方だな。最近借金抱えて、遊ぶこともままならなくなったから、強制的に」 「え、それでよく八出すとか言ったね」 「俺の勘。お前とは相性が良さそうだ」 「何それ、運命の出逢いってやつー?」  お互いの服を脱がせながら、軽くキスを交わしながら、透は期待を膨らませる。全て脱がされたところで、先程店でしたような、深いキスを交わした。 「ん……」  舌を吸い上げられ思わず声を上げる。リョウスケの手がそっと透の左手首を取り、キスをしながらその手首の内側を指で撫でた。  透はその手を優しく引っ込める。けれど彼の手はしつこく、そこにできた僅かな凹凸を確かめるように撫でてくるのだ。 「……っ、やだ……何でそこ撫でんの……」 「皮膚が薄いところは、敏感だろ?」  リョウスケが下唇を甘噛みしながら言う。確かにそこを触られると、神経がザワつくような感覚がある。敏感は敏感だけれど、気持ちがいいものではない。 「ここでも感じられるように、仕込むのもいいな」  リョウスケはそう言って笑う。透はそれってしばらく遊んでくれるってこと? と尋ねると、ああ遊んでやる、と返ってきて透は喜んだ。 「ね、早くしよ?」  我慢できない、と腰を押し付けると、透の変化にリョウスケはクスクスと笑う。 「準備しないとだろ?」  そう言って、彼は透を浴室に誘った。軽く汗を流し、ついでに透の後ろも洗って、と進めるけれど、リョウスケの下半身は全く変化がなかった。なので透は口でしてあげようとしゃがむと、いい、とリョウスケは透を立たせる。 「何で? そのままじゃできないじゃん」  不満そうに口を尖らせると、リョウスケは透の身体を反転させ、後ろの蕾を見るように、尻の肉を掴む。  食い込んだ指が少し痛くて息を詰めると、リョウスケがローションのキャップを開けたので、透は大人しく壁に手を付いた。 「そう、いい子だな。その体勢を崩すなよ?」 「……っ」  耳元で囁かれた声と言葉に、透は肩を震わせる。俺は快感によがり悶える姿を見る方が、燃えるんだよと言われ、透はカッと身体が熱くなった。  リョウスケは透の尻の狭間を、ローションで濡らしながら撫でる。くすぐったさに身をよじると、動くな、と短いけれど逆らえない声で制された。 「素直だな。……入れるぞ」  宣言通り指が入ってくる。入口を揉むように、広げるように指を動かされ、それもまた、くすぐったさと気持ちよさの混ざった感覚を生んだ。 「ほらしっかり立て。ほぐしてやってんだから」  ぴしゃりと太ももを叩かれる。強い力ではなかったけれど、後ろの何とも言えない感覚と相まって、透はリョウスケの指を思わず締め付けた。 「こら、まだ第一関節だけだぞ? ってか、結構使ってるように見えたけど、案外狭いのな」  後半は独り言のように呟くリョウスケ。透はふうふうと上がっていく息を殺すのに必死だ。 「でもお前、お尻好きだろ。指の先だけでそんなに感じて……」  こうしてお金を払って遊んでくれる人たちに、透の身体は開発された。三年前まではあんなに嫌っていた行為なのに、一度堕ちてしまえば楽になったのだ。こんなものだったのか、と。 「んん、もっと奥に……」 「動くなって言ってんだろ」  ぴしゃり、とまた太ももを叩かれる。欲しいところに手が届かないもどかしさで、透の腰は勝手に揺れるけれど、リョウスケはそれを許してくれない。 「ん……っ、んん……っ」  中を広げるように動かしながら、指は少しずつ入ってくる。けれど、肝心なところには触れてくれない。 「んーっ……」  高く掠れた声が浴室に響く。膝がガクガクと震えだし、視界が霞んでいきそうになり、透はだめ、だめとうわ言のように呟いた。 「ダメか。じゃあ止めるわ」 「──ああっ!」  もう少しでというところで、リョウスケは指を抜く。その刺激に透は大きく痙攣し、足から力が抜けて崩れ落ちた。 「おい、立ってろって。いいところ触ってないのに、そんなによかったか?」  透は引き起こされながら、どうしてこの人はこんなに上手いのか、と思う。遊び慣れてるのは明白だ。  しかし、そう思ったのはリョウスケも同じだったらしい。開発済みなら本番が楽しみだな、と笑う。 「もう……ここまでしたらイカせてよ」  透はイケなかったことに恨みがましくリョウスケを見ると、彼は声を上げて笑った。 「言ったろ、悶えてるのを見るのが好きだって」 「この……ドS……っ」  透はそう言って立ち上がると、リョウスケはお褒めに預かり光栄です、とニッコリ笑った。

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