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契約 第七話

ピピピピーピピピピー いつもの目覚まし時計の音と違って違和感を持ちながらゆきは目覚めた 起き上がって、いつもと違う布団の触り心地、部屋が違って思い出した。 そうだった~ ど、同居?してるんだった あっ、同居じゃなくて…住み込み!住み込み! 今日から怜央の家で働かないといけない 怜央の家…。今更だけど怜央さんを思い出した 昨日、怜央さんと一緒に寝たんだったけ?そう疑問に思い横を見ると、スヤスヤというより死んだように寝ている怜央さんがいた 思い出した。抱きしめられて寝ちゃったんだよね 抱きしめられた…/// ポッと顔が赤くなる 昨日はなんもなかったんだよ!お尻痛くないもん! それより、仕事もあるし!大学も行かないとだし! やることいっぱいだ そんなことを考えていると「グゥ~~~」とお腹の虫が鳴いてしまった ご飯食べたい、お腹空いた け、けど怜央の許可がないと 起こすのも…。 ダメダメと横に顔を振った (こんなことで起こすなんて最低だな、家政婦失格だ!出ていけ!)ってことになりかねない でも、お腹すいちゃったから水道水なんか飲んでお腹を膨らませよう ベッドから降りて、寝室を後にした もう、何回も来てるから迷わない って思ったけど、案の定、方向音痴なゆきは迷った もう!無駄に広すぎる部屋が悪いんだよ! 結局、キッチンは見つかった ホッ 探すだけで5分はかかった コップを取って、蛇口に手をかざす 最新の蛇口?らしい 手をかざすだけで出るみたいな 手をかざして、ちゃんと水が出た 「すごい!活気的だね!」 「・ ・ ・」 誰もいない部屋で1人言うとなんか恥ずかしくなってきた でも、蛇口が「うん!すごいでしょ!?」と言われても困るけどね そういえば、昔の自分も水道水でお腹いっぱいにしてた 懐かしいな あとなんかしたけ? 楽しい思い出を思い出そうとするけど、辛い思い出ばかり脳に流れてくる 母が殴ったり、罵声を浴びせられたり…。 思い出した途端、何故か息が吸えなった。苦しい…。 喉に何か詰まったみたいに空気が通らない 自然と涙も出てくる なんで息が吸えないの…。 昔、耐えてた思いが一気に今の僕に降りかかったみたいに 辛くて今まで思い出せなかったけど母にこんなことを言われたことを思い出した 「あんたは、運命の番やらに憧れてるけど、運命の番や、惚れた‪α‬にあっても、絶対に結ばれないの」という言葉 一語一句覚えている…。 まさにその場所で、その時間に言われていたみたいに…。 やっぱり、結ばれない運命なんだ…。 母の言葉を信じている訳では無いけれど、何回も願ったことを叶えられないとなると、母の言葉を少し信じてしまった 昨日、浮かれていた自分がバカみたいだった

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