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契約 第八話
昨日、浮かれていた自分がバカみたいだった
結ばれない運命だけど、怜央さんを思うことはいいよね
結ばれない前提で思っておけばいいことだもん
自分でそう言い聞かせた
呼吸もだんだん落ち着いてきて、涙もスート引いた
でも、結ばれないって思うと、心に何か引っかかっているような胸の痛みが感じられる
胸がギュッとなって苦しくなる
脳では番にならなくてもいいって思ってるけど、心は正直だ
番いたいって思ってしまう。
もう、ダメだ。考えても仕方ない
それより、泣いた顔を心配されないようにしないと…。
顔を水で洗ったら誤魔化せるかな
実践してみてマシになったので、まだ、起きていない怜央さんを起こしに行く
今回は迷わずに寝室にたどり着き、部屋に入る
ベッドの方を見ると、怜央さんはまだ死んだように寝ていた
怜央さんの体を揺すり、「朝ですよ!」とご近所迷惑にならない程度の声の大きさでに言う
それでも、起きなかった
怜央さん朝起きれないなんて可愛い
あれを使うか…。怜央さんはプライドが高いから貶していく起こし方
「なんでもできるスーパーマンみたいな雰囲気出してるのに、朝起きれないとか…ぷぷぷ」と言った
怜央さんのビクッと体が揺れて、起き上がった
「おはようございます。」と声をかける
「あぁ~おはよう」
そしたら、僕の顔をじっと見てきた
やばい、バレちゃう
隠す口実…。
ゆきは焦っている中、怜央はゆきの目の当たりを触り、「泣いた?」とゆきに聞いた
僕は焦ったように「泣いてないですよ!」と言った
ほんとに?という顔でこちらを見てくる
「嘘をついたらお尻叩きの刑だぞ」
「お尻叩きの刑…。」
それだけは嫌だ!僕の大切なお尻が赤くなっちゃったらって考えると…。いや、考えたくもない…。
何かごまかせる方法は無いかと頭をフル回転させるがいい案は思い浮かばない
怜央さんのジトとした目の圧に押され「泣きました」と言った
勝ち誇ったように怜央さんはドヤ顔をし、僕は肩身が狭くなった
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