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契約 第九話
「んで、どうして泣いたんだ?」
「えっ?あっ、そのぉ~」
やばい、口実を考えてなかった…。ど、どうしよ
そうだ!体調不良!
「ちょっと、お腹痛くて…。」
「そうなのか!?病院に今すぐ行こう!」そう食い気味で言われた
でも、僕、病院大っ嫌い
だから「病院行くほどでもないから…。だから…。行かない」
「いいや、行かせる。ゆきの体が心配だ」
これじゃあ、病院確定コース…。
注射とか打たれたら…。僕、死ぬ!
ここは、本当のことを話す…いいや!絶対に話さない
で、でも、注射は…。薬は…。
あぁ〜考えても仕方がない。本当のことを話そう
きっと、怒らずに聞いてくれる
はず…。
「あのね、怜央さん…」
「ん?なんだ?」
「嘘ついた…。ごめんなさい」
「・ ・ ・」
沈黙が始まった
この沈黙だけは避けたかった。目の圧力に痛い視線。まるで、嘘をついたら殺すと言っているようだ
怜央さんは「嘘をついた理由は?」と淡々に僕に告げた
「えっと、僕の母親が、ぎゃ、虐待的なものをしていまして…」
怜央さんは「虐待だと?」と眉間に皺を寄せて聞き返した
「はい…。それで、その…思い出してしまったというか…辛い思い出を」
「そうだったのか…。言いにくいことを話してくれてありがとう」と言われ抱きしめられた
何故か目頭が熱くなり、頬に一筋の涙が通った
今まで、虐待されてたことを誰にも話せなかった
どれだけ、夢に見ても…。
拒否されるのが辛かった
1度、友達に話したことがある
話したらお前の母親の言動は間違ってないよwお前は虐待されて正解だったんだと言われた
僕は暴力を振られる人生なの?幸せになっちゃいけないの?と疑問が湧いてきて、それから誰にも話さなくなった
怜央さんは友達と違う反応で、僕に辛かったんだなと泣いていいんだぞど伝えてるみたい
やっぱり、僕この人が好きだ
優しくて、僕のことを思ってくれる
いつしか、この契約は終わってしまう。それでも、僕はずっと怜央のことが大好きです。
例え、怜央さんが離れてしまったとしても…
結ばれない恋だけど…
それでも、あなたの事をずっと愛してます
そう心の中で呟いた
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