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契約 第十五話

「そ、そのなんですか!?恥ずかしい言葉は!」 「ん?恥ずかしい言葉か?」 「は、恥ずかしいですよ!もう!」 「でも、こんなに顔を赤くしているんだから照れてしまってるんだろ?」と言いながら怜央さんは人差し指で僕の頬をぷにっと触る 「さ、触らないでください!それに、意外とそのぷにってなるやつ痛いんですからね!」 ま、別に痛くないけど…。 でも、こう言わない限り、また何回もするでしょ! プンプン! すると、ずっと口を開いていなかった高瀬さんが「まぁ、まぁ、落ち着いてください」と言われた べ、別に怒ってるわけじゃないもん!バカにされたのが腹が立っただけだもん! あっ、それって怒ってるって言うのか…。 などと1人で考えていると「そうだな」と怜央さんが言った えっ!?なんか今日素直じゃん! 素直すぎてびっくりした いつもの怜央さんなら(黙れ!このジジイ!)とか言いそうだけど それはさすがにないか…。 ジジイは言わないでしょ この怜央さんが…。そう思い怜央さんの顔を見た 怜央さんは、ん?という顔でこっちを見返した いや、やっぱり言うな なんてったって、この人悪魔みたいだし 性格の悪さが顔から滲み出てるよ! なんちゃって…。 本当は優しいしかっこいい 素敵な人。僕のことを思ってくれてる 朝の時だって優しかったし やっぱり、意地悪というか、恥ずかしい言葉を投げかけられても許しちゃうな このイケメンがオヤジギャグを言ったらどうなるんだろ 今度言わせてみようかな そうやって考えれるだけで幸せ そばに居るだけで僕は幸せ だから、贅沢は言わない。そう決めた 僕はあくまで高瀬さんと同じ雇われの立場。 いつか、なんてないんだ。 この、契約が終わったら、僕達は離れる。 別々の道を歩いていく 僕は一生孤独。多分、アルファと会っても、怜央さんのことばかり考えて付き合えないだろう。だけど、怜央さんは素敵な家庭を作って、子供もできて、沢山の愛をもらって生涯を終える。 そんな、素敵な人生に僕は関わっては行けない。 好きな人には幸せな人生を歩んで欲しい。 でも、この期間だけは好きになってもいいですか? この期間が無くなってしまったら、もう、会えない。 関われない ゆきは、朝からずっと思ってた。やっぱり、この人が好きだと。 講義中もずっと怜央さんのことを考えて、授業の内容が1つも頭に入らないほどだった。それぐらい好きだ。 だから、契約の期間だけ。好きになる。 でも、雇われの身だから隠す。 何回も、何回も、自分で確認しないと、踏み込むでしまいそうだから…。 気持ちが爆発してしまいそうだから。 そう思い、ゆきは顔を上げて怜央の方を見た

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