96 / 118
契約 第十七話
そしてエントランスホールを抜けてエレエーダーの中に入った
少しの沈黙の後、怜央さんが口を開いた
「ゆき、まだ俺の事嫌いか?」と聞いてきた
本当は好き……。
だけど、「前よりかは嫌いじゃないですよ」
「本当か?」
「はい……。でも、自分勝手なところとかは嫌いですね」
「そうか……。」と悲しそうに言った
そしてまた沈黙が流れた……。
さっきの空気とは一変して重い…。
「自分勝手なところを治したら、ゆきは好きになってくれるか?」
えっ?それはまるで、自分のことを好きでいて欲しいみたいな言い方じゃん
自惚れるな自分!
不細工という自覚をもて!
玲央さんが僕のことをすきになるはずがないだろ
自惚れるのもいい加減にしろ!
そう自分に言い聞かせた
まぁ、好きにはならないと思いますって答えたらいいかな?
「好きにはならないと思います。普通になるんじゃないですかね……。」
そしたら「いかにも、他人らしい回答だな」と言われた
いかにも他人らしいって、だって自分の中だ回答は決まってるんだもん。
好きしかならないし。
多分、自分勝手でもこの人を嫌いになることなんかないと思う
そんなことを考えていると、エレベータのドアが開いた
玲央さんが先に出て後を追うようについて行く
そして玲央さんがカードみたいなものをドアに近づけると、ガチャ見たいな音がなり玲央さんがドアノブを押すと開いた
えぇ〜、すご!
わぁ〜と心の中で感動していると玲央さんに「入るぞ」と声をかけられハッとして中に入る
中に入ってドアを閉めるとガチャと言いながらロックがかかった
すご!
田舎育ちの僕には驚きの連続だよ
そんなことを考えていると、玲央さんはズカズカとリビングの方に歩いていってしまった
玲央さんを慌てて追いかけて何とか追いつき、一緒にリビングに入った
入ると「ゆきは座っていてくれ」と言われたので、大人しく座ると
玲央さんはスマホを取りだしなにやら電話をし始めた
どこに電話しているんだろう
2分ぐらいで電話が終了し玲央さんもソファーに座った
5分ぐらいでインターホンがなり、ガチャと音がした
だ、誰が来るんだろう…。
ともだちにシェアしよう!