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第19話

「済まん、遅くなった」 先に帰っていた僕のところに麻生さんが来たのは1時間くらいしてからの事だった。 麻生さんは急いで来てくれたのか、白いTシャツにジャージ、裸足という軽装で、首筋には汗が滲んでいた。 「お疲れ様です」 僕の為に。 僕の為に、シャワーにも入らないで来てくれた。 けど……柔道着姿のままで来て欲しかったな。 それを少し残念に思いながら、僕は麻生さんを抱き締めていた。 鼻を掠める、麻生さんの良い匂い。 ゆっくり深呼吸すると、麻生さんが、 「亨は俺の匂い、ホント好きだなぁ」 と照れくさそうに話す。 「えぇ、大好きですよ。僕の事を誘う、いやらしい匂い……」 首筋を舐めてその味も愉しむと、つい首筋に僕の跡を残したくなってしまって、いつもより目立つ位置につけてしまっていた。 「……ッ、そこ……見えるトコじゃねぇの?」 「すみません、そうかもしれないです」 「おいおい、何やって……」 「無防備に色気振りまいている麻生さんがいけないんですよ」 「ちょっ……ンン……ッ……!!!」 その跡だけでは満足出来なくて、僕は数箇所同じように跡を残してから麻生さんにキスをした。 「は……っぁ……うぅ……」 甘い吐息と声を漏らしながら、僕のキスに応えてくれる麻生さん。 「……寝室行きましょうか……」 長いキスの後、僕がこう言うと麻生さんは、 「おう」 と蕩けた目をして言ってくれた。

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