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第18話
4つの刑務所対抗の団体戦。
麻生さんは副将として試合に出ていた。
戦っている姿は勇ましくてかっこいいな、と思う反面、こんなに勇猛な人が僕の恋人で、僕の前だけで乱れて最高に可愛い姿になってくれるのを思うと自慢したくなるくらい嬉しい。
「麻生、まだ試合出てるなんてスゲーな」
「40過ぎてるよな?確か。あんな動けるの尊敬するわ」
近くにいた麻生さんくらいの年齢の男性たちが話していて、声が割と大きいのでふたりの会話が自然と耳に入ってしまう。
「若い頃は痩せててモデルみたいなイケメンって感じだったよなー」
「どこで聞きつけたか知らないけど、刑支から麻生目当てに見に来てた連中もいたよな。あの頃の麻生は確かにイケメンだった。今じゃそんな風に見えないくらい太ったけど、何か……雰囲気変わった気がする」
「そう言われると確かにそんな気がする。なんつーか、変な色気を感じるよな」
「分かる!!何かエロいんだよな」
「…………」
少し前、休憩中に職場でも似たような会話を聞いた。
それは僕のせいなのかもしれない、そう思うと嬉しい気持ちと、他の人に感じさせてしまうくらい色気を出してしまっている麻生さんの無防備さに心が乱された。
麻生さんは、僕だけのものだ。
相手を投げで倒し、笑顔で声援に応えている麻生さんを見ながら、僕はそんな事を思ってしまった。
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