23 / 115
第23話 底のない沼
オレは、懸命に郭遥の雄の本能を引き留める。
郭遥のペニスの上を往復するオレの手に、手が重なる。
「わかった」
オレの口説きに折れた郭遥は、諦めたように鼻で溜め息を吐く。
オレの手をやんわりと剥がした郭遥が、下着を脱ぎ去る。
そんな姿すら色っぽく、蔓延るフェロモンにあてられたオレは、くらくらとする眩暈に襲われる。
無造作に放られているコンドームを手にした郭遥は、口と片手で1枚を千切り取る。
包装されたコンドームを歯で挟んだままに、ちらりと流される郭遥の視線。
色気混じりの笑みを見せる郭遥に、ぞわりと心が煽られる。
淀みない動きで、自分のペニスにコンドームを被せた郭遥は、もう1枚を千切り、オレのモノにも被せた。
郭遥の手が、柔らかく頭を撫でてくる。
期待に拍動するオレのペニスに、ぴとりと触れる郭遥の熱源。
どくどくと息づく2人のペニスが重ねられ、頭を撫でていた手が、まとめてそれらを握り込む。
「挿入 るだけがセックスじゃないだろ。一緒にイこ……」
ゆるゆるとペニスを扱きながら、オレの耳許で囁く郭遥。
聴覚を刺激するその声色に、脳が揺れる。
跳ねる腰に、裏筋が擦 れ合う。
「………はっ」
重なる場所から、分け与えられる熱が身体を、心を震わせた。
ベッドに埋まる身体が、際限なく、そのまま落ちていきそうで。
背に触れているはずのベッドの感触が、消えていく。
底のない沼に沈み込むような感覚が怖くなり、郭遥の首に両腕を回し、しがみつく。
はぁはぁとなる荒く熱の籠った息遣いが、部屋に充満する。
他人に触れられたコトなどないその場所を、大好きな相手に慰められる。
痺れるような快感が、身体を巡る。
浮き上がる頭の下に郭遥の手が、差し込まれ、後頭部の髪が掴まれた。
郭遥に貼りついていた身体が、ぐっと引き剥がされる。
とろりと蕩ける瞳で見詰めた郭遥の顔は、雄の色香に塗れていた。
噛みつくように降ってきた郭遥の唇が、オレを喰らう。
貪るような口づけを交わしながら、腰を震わせ、真っ白な欲望をゴムの中へと解き放った。
ともだちにシェアしよう!