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第六章・6

「う、ふぅ。はぁ、はぁ、あぁ……」 「少し、休もうか」  胸を大きく上下させる亜希に、啓は飲み物を与えた。  グラスに口をつけ、亜希は啓にそっと話した。 「僕、こんなに気持ちいいの、初めてです」  これまでいろんな男たちに抱かれたが、前戯で達したのは初めてだ。 「ごめんなさい。ベッド、少し汚れました」 「シーツを洗えば、済む話だ。大丈夫だよ」  それより、と啓も亜希に声を掛けた。 「どうするかな? 亜希がもう疲れたのなら、これで止めてもいいが」  そんな言葉に、亜希は頬を染め、うつむき加減で。  小さな声で、答えた。 「啓さんが、よければ。……最後まで」  その仕草に、啓は胸をかきむしられるような感覚を覚えた。  愛らしい、健気、殊勝。  そんな言葉が頭をよぎったが、それを上回る官能も、彼から感じていた。 「じゃあ、もう一度横になって」  我知らず、声がかすれる。  素直に従う亜希に、啓は被さっていった。

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