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第六章・5
「ああ……」
啓に体を愛撫されながら、亜希は深い息を吐いた。
胸は激しく打っているのに、穏やかな心地だ。
神経は昂っているのに、落ち着いた気持ちだ。
「啓さん。あぁ、啓、さ……ん……」
「嫌になったら、すぐに言って」
亜希の切ない喘ぎを聞きながらも、啓は彼の様子に気を配っていた。
恐怖を訴えてくれば、すぐに中断するつもりでいた。
しかしそれは杞憂で、亜希の後膣はオメガの愛液で潤っている。
心から悦んでいる証だった。
啓は、亜希のそこに、慎重に指を進めた。
男性にしては細く、そして長い指だ。
外科医の器用さで、亜希の体内を探る。
「あ、あぁ、あ! ……っく、うぅ。んあぁ、あ!」
途端に、亜希は乱れ始めた。
「ヤだ。何、これぇ……。うぅ、あぁ!」
「気持ちが悪いなら、やめるよ」
「やめちゃ、イヤです。んあぁ、あ。あ、そこ。そこは、ぁあ……!」
男性の体内スポットは、熟知している啓だ。
指先でつつき、焦らす。
やめると見せかけて、指腹でこする。
「っあ、あぁ! あぁあ!」
啓の愛撫に亜希は大きく震え、精を放った。
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