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第十七章・2
亜希が予備校に再び通い始め、啓も少しずつ病院にいる時間が長くなっていった。
そんなある日、啓に面談を求める男が現れた。
「菱先生。受付に、お会いしたいとおっしゃる方が見えてるんですけど」
「患者さん?」
「いいえ。王子さま、と名乗っておいでで……」
啓は、すぐに利実の顔を思い浮かべた。
しかし、会いに来た人物は、彼の父親だった。
「これは、菱先生。お忙しい時に、すみません」
「いえ、診察は終わりましたので」
二人は院内の応接室に場所を映し、ソファに掛けた。
お茶を出したスタッフが部屋を出ると、王子は話し始めた。
「実は、利実のことなんですが」
「利実くんが、何か」
「あなたとの婚約を、解消したいと言い出しまして」
啓は、意外な口火に軽く驚いた。
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