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リンの家 1
そして五日後。母は嬉々として五人分(一つは僕用)の弁当と精霊のおやつを作り、湖畔の城へと旅立った。
僕も今日と明日の二日間は休みだ。コウは今日は仕事で明日は休み。何とか明日を休みにしてもらったみたいだな。仕事が終わってから夜にウチに来る事になっているので、それまではネルとのんびり過ごそう。
「ねぇ、ネル。」
「何?」
「コウジンは回復魔法が使えるじゃない?」
「うん。」
「僕、この前のネルみたいになるのは嫌だから、リンネルになったらコウジンに、肉体的に繋がってる最中の回復魔法は禁止って言うよ。」
「それいい!そうしようっ!!!」
「食いつきすぎだよw けど、そうしないと絶対歯止めが効かないでしょ?リンネルが意識を飛ばしたら終わりって事で。回復魔法は寝てからかけてもらう事にしよう。」
「賛成!!その約束を破ったら完全憑依で繋がるのも、精霊同士で肉体的に繋がるのもしばらく禁止にしよう!!」
「それでいいんじゃない?」
昼ごはんに母が作ってくれた弁当を食べ、晩ごはん用にミートソースを作っておく。
ミンチと刻んだ玉ねぎ、にんじん、にんにく、マッシュルームを炒め、塩胡椒し、赤ワインを振りかける。適当にケチャップやソース、コンソメも入れた。後は母が保冷庫にストックしてあるデミグラスソースで煮込んだら出来上がり。最後に黒胡椒を多めにかける。
うん、これでOK。コウが来てからパスタを茹でればいいだけだ。あっ、サラダも作っておこう。
ネルと一緒にダラダラしていたら、あっという間に夜になった。
コウとジンが息を切らせてマジョリカに入って来る。
「リン!オレ、早く会いたくて走って来たんだ!」
「お疲れ様。憑依して飛んで来た方が速いし楽だったんじゃない?」
「そうなんだけど、何か走りたい気分だったから。」
・・・脳筋の考えはよく分からない。
「まぁ、いいから入りなよ。お腹すいてる?パスタで良かったらすぐ出来るけど。」
「リンが作ってくれるの??!食べる食べる絶対食べるっ!!」
2階の住居スペースのキッチンに移り、パスタを茹でミートソースを温める。茹で上がったらザルにあげて皿にうつし、パスタにオリーブオイルを絡めてからミートソースをたっぷりかける。
サラダと共に食卓に並べた。
「うわっ!!めちゃくちゃ美味しそう!リンは料理まで出来るんだね。本当にすごいよ!!いただきま~す。
っ!!うっまぁ!!!」
「母さんが作ってあったデミグラスソースを使ったから、僕は大した事してないよ。粉チーズ、黒胡椒、タバスコは好きにかけてね。」
僕も一緒に食べる。うん、美味しい。母のデミグラスソース使って失敗するはずないもんね。
「そんな事ないよっ?!だってオレがランさんのデミグラスソース使って作っても、絶対にこれより美味しくないよ。リンが作ってくれたってだけでも充分なのに、本気で美味しいもん。あぁ、本当に美味い。幸せだよオレ。」
確かにすげぇ食いっぷりだなw
「パスタ、もうちょっと茹でてやろうか?ミートソースはまだ残ってるし。」
「いいの?!お願いします!!」
パスタとサラダを食べ終え、デザートはアイスクリーム。もちろんネルとジンの分もある。
僕はストロベリー、コウはチョコ、ネルはキャラメル、ジンはバニラだ。
チョコのアイスも食べたかったので、コウに一口ねだると、満面の笑みであーんをされた。普通に自分のスプーンですくうつもりだったのに・・・ネルとジンも食べさせ合いをしてるからまぁいいか。
後片付けも済み、僕の部屋に移動する。
部屋でリンネルとコウジンになり、お互いに洗浄魔法をかけ合った。
「コウジン、最初に一つ約束して欲しいんだけど。約束してくれなきゃ一つになるのは嫌だ。」
「えっ、何?約束するから!嫌だなんて言わないで??!」
「肉体的に繋がってる時の回復魔法は禁止。僕がもう無理ってなって意識が飛んだらその日はお終い。その後でなら回復魔法かけてくれても寧ろ助かるからいいんだけど。」
「ええっ??回復魔法かけた方が体は楽でしょ?」
「この前のネルの状態覚えてる?回復魔法かけながらずっととか無理なんだよ。約束出来ないなら完全憑依では繋がらないよ。」
「・・・分かった。リンネルの意識が飛びそうになっても回復魔法はかけない。」
「回復魔法かけないだけじゃなくて、そこで終わりだよ?僕の意識がないのにそのままヤリ続けたりもなし。う~ん、イキそうだったらその一回は出してもいいけど、絶対それで終わりね?洗浄魔法もちゃんとかけてね?
約束を破っても、完全憑依でと、精霊同士での肉体的な繋がりをしばらく禁止するから。分かった??」
「う、うん。分かりました。」
「よし、じゃあ・・・キスして?」
コウジンが一瞬固まった。が、すぐに我に帰り、僕の頭を抱きかかえるように固定し、深く、深く、キスをして来た。
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