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月城 颯太
何か話を作ろうと思い、思いついたのが好きな食べ物は何?だった
こ、こんなんじゃダメか…。
次は、好きな動物?こ、これもなんか違う…。しっくりこない
何も思い浮かばない焦りと、2人の間にある沈黙が、2人の心を開いていってるかのように感じる
せっかく、同じ境遇で、話も合うかなと思ってたのに…。
僕のコミュ力不足だ
まともと、友達なんかいなかったから喋り方とかもわかんないし…。
ゆずの頭の中にどんどんネガティブな言葉が埋めつくされていく
考えているうちに、話せれない時は、共通点を見つけたらいいってテレビで言ってた気がすることに気がつき
「あっ!そういえば!」と話題を見つけたと思ったら、唯くんが僕の言葉に重ねるかのように
「隠れて!」と目を見開いて言った
隠…れて?頭の中は疑問でいっぱいだったが、一生懸命隠れれる場所を見つけようとするけれど、どこを探しても見つけることが出来なかった。それは唯くんも同じだった
僕の目に暖かい夕日が右から僕の体を覆う
それと同時に黒い影が目にかかったのがわかった
ん…?
影のかかった方を向くと、最初に目に映った唯くんがプルプルと震えている姿
次に映ったのは、大きな人…。
逆光で見えないけれど、座ってでもわかる身長のデカさ
一条様…かなとも思ったけれど、匂いが違った。それに、オーラも違う
一条様は、なんというか…言い表せれないけれど、人類全てを見下しているような感じ…。The王!みたいな…。でも…優し…違う!優しくはない!
この人影さんは、心の中に優しさもあり、冷たそうな人…。
そんなことを考えていると左からそよ風が吹いた
一瞬時が止まっていたのを動かすかのように…。
「月城先輩…。どうしてここに…」と唯くんが言う
さっき、話してた先輩のこと…。
そして、夕日が建物に隠れ、眩しくなくなり、人影の顔がようやく見えた
メガネをかけている二重のツリ目で鼻が高く、髪型は七三分けをしている美形のアルファ
身長は180cmぐらいだろうか…。
先輩は呆れたように「どうしてって、オメガの匂いで居場所ぐらいわかるだろ」と言った
ん?てことは…一条様は僕の居場所がわかってたってこと?
いやいや…図書館と通路であった2回だけ!
きっと大丈夫…。大丈夫…。
先輩の一言でどんどん不安が募って、焦り始める…。
でも、2人の会話が気になるから聞く耳を立てていた
「発情期に逃げるなんてな…。首輪でも付けて、閉じ込めれば今頃…」
酷い!首輪、閉じ込めるなんて!おまけに無理やり番にさせようとしてたのに!
やっぱり、最低だ!
いてもたってもいられなくなり「ちょっと!その言い方は無いんじゃないですか!?謝ってください!オメガにだって人権ってものがあるんです!」と強く言ってしまった
あっ…。唯くんのことなのに…。
でも、許せれない
すると、先輩は間を置いて「そうだな…。唯…すまなかった」
「唯を苦しめないためには番にさせるしかないと思ったんだ」
「だが、合意もせずに番になろうとしたことは本当に申し訳ないと思っている」
「唯、すまなかった」
と悲しげに先輩は言った
唯くんの答えはと思い、唯くんの方を見るとまだ、震えていた
そして、涙目になりながらも必死にこう言った
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