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唯くん
毎回だけど、先生は来ないまま、授業、ホームルームが終わった
かおりくんが僕の机を見るかもしれないので教科書で書いてある部分を隠し、いじめられたかもしれない子に急いで声をかけた
とにかく、第一印象が大切だと思い1つ声を上げて声をかけた
「ねぇねぇ!」
「ん?」と俯いていた顔をその子があげる
「名前なんて言うの?」
「……唯(ゆい)……。」
「唯くん!はじめまして!僕はゆずって言います!よろしくね!」
「あっ…うん」と頷かれただけだった
「唯くんは、高等部から入ってきたの?」
「う、うん…」
なかなか心を開いてくれなさそうだな…。回りくどくいくより直球で質問しよう
「それと、もうひとつ聞いていい?」
「うん…」
「その、赤文字…。誰に書かれたの?」と唯くんの顔を見ながら言った
唯くんは髪が長いため髪の毛の隙間から見える目が少し冷たく感じる
すると唯くんは溜息をつき「君も冷やかしに来たの?」と冷たく言った
「えっと、そんなつもりじゃ…」
「ならなんなの?」
「唯くんの力になりたい…。僕も実は赤文字で死ねって書かれてたの…」
「だから、同じなのかなって…ごめんね…不快にさせちゃったよね」と最後に言い、クルッと振り返って自分の席に戻ろうとした瞬間に
「待って!」と言われ思わず振り返り、唯くんと目が合った時に「ここじゃ言えないから、他の場所で話そう」と言われた
「いいの?僕なんかに話して…」と言うと頭の中のチビゆずが出てきて
チビゆず1人目が「何言ってんだ!」と言う
それにつられてチビゆず2人目が「そうだそうだ!これで言われなくなっちゃったらどうするんだ!」と同情してきた
その妄想を断ち切るかのように「いいよっ」と唯くんが言ってくれた
ゆずは、唯くんの気が変わらないうちに、自分の鞄を取ってきて唯くんと一緒に教室を出た
その時にかおりくんに話しかけようと思ったけど、どこかに行ってしまったみたい…。
かおりくんも心配だけれど、唯くんの話を聞きたい
唯くんと無言のまま、廊下を歩き、アルファオメガ兼用の踊り場に着き、近くにあったベンチに座った
そして、唯くんが口を開いた
「実はね…。トップ4の…」
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