55 / 88
名前
すると「おい、待て」と一条様に呼び止められた
反射的に止まってしまった
「俺は、お前のことをもっと知りたい。だから一緒にご飯を食べようとしたのに早くないか?」と言われた
知りたいって…どうせ、結ばれたとしても捨てるくせに…
そうやって信頼させたり親交を深めたりして飽きたら捨てる。だいたいそんなやり方なんだと思い「嫌いな人と食べるの嫌だったんで、早く食べただけですけど?何か?」と言い返事を待たずに、トレーの返却口に食べたうどんを置き食堂を出た
出たら、なんかどっと疲れが出たらというか、ホッとした
まさか、また会うとは思いもしなかった
これからはきちんとお弁当を持っていこうと心に決め、今日1日が終わった…
日が変わり、お昼ご飯タイム
今回はちゃんと確認して、お弁当を入れたから食堂に行かなくても大丈夫!と思いながらカバンの中からお弁当を取り出すと…
廊下からキャーーと黄色い声援が…
もう、誰が来たかわかった…答えは一条様…。
はぁ~またか…。ていうか、昨日のこと繰り返してる?普段絶対に出さない甲高い声だから、耳に響くんだよ!なんて思いながら、お弁当の袋からお弁当箱を取り出し蓋を開けた時に隣の席を引く音がした
そうだったかおりくんいないから、隣の席ががら空きだったんだ
「今日も来てしまった…」とまた、一条様の声が…
ほら、言った通り、一条様でした~
今日も来てしまったって…来るなよ!というか、どっか行けよ! なんて思うけど、この人には伝わらないし…
ていうか、オメガの棟に来ちゃダメなんじゃ!?これを言ったら追い返せるかも!と思い「アルファさんはここの棟に来ては行けないのではないんですか?」と聞く
「ん?そんなことはないぞ」
ないんかい!じゃあ分けてる意味!
「ゆず、アルファさんじゃなくて蓮と読んで欲しい」
呼ぶか!!!!!!!!!
第一なんで呼ばなきゃなんないんだよ!嫌いな人を!
ん…?なんか引っかかることがある
ゆず、アルファじゃなくて蓮と呼んで欲しい…。と脳内で何回も繰り返す
リピートしているうちに違和感に気づいた……あれ?今、ゆずって呼んだ…?
ともだちにシェアしよう!