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走る

「えっ…あの…」 「なんだ?」 「今、呼び捨てで…呼びましたよね?」と恐る恐る聞く 「あぁ、それがどうした?仲良くなるための第一歩だろ」 …名前を呼び捨てにするのが一条様の第一歩…。 いや、それにしても…!最初から呼び捨ては…なんかこうムズムズするというか…なんというか…。 「そ、その…初めから呼び捨ては…」 「じゃあ、ゆずくん?それともゆずちゃん?」 呼び捨てでもなんかムズムズしたけど、くん、ちゃん呼びはもっとムズムズする 「それもムズムズするんで、もう呼ばないでください!」 「…俺だけはダメなのか?他のやつは全員読んでいるのに俺だけはダメなのか…」 「そ、そういう訳ではないんですけど…恥ずかしいというか…」とモジモジしながら言う 何せ、ゆずの短い15年の人生でアルファに名前を呼ばれたことがない 「…じゃあ、慣れるためにも、呼んだ方がいいな」 「いずれは、結婚して、番になるんだから」 はひ!?も、もうなんでそんな所まで進んでるの!? というか、なんかこの人勘違いしてない!?付き合ってるみたいな言い方するけどさ! 「ぼ、僕はあなたみたいな傲慢で、王様みたいに自分が1番な人と結婚しませんから!」 「番なんてもってのほかですから!」と思わず、大きな声で言ってしまう 「ゆずの言いたいことはわかるがな…運命には逆らえないと俺は思うぞ」 その、運命に逆らおうと必死に頑張ってるのに、あなたが近づくから悪いんでしょうが! 「絶対に!運命なんかに逆らってやる!」 「性格悪い人!」とゆずなりの悪口を言い箸を置いて、食べている途中の弁当箱を置いて席から立ち上がり、逃げ出した… とはいっても、ゆずは、50m走がいい時で10秒、悪いときで12秒なわけで当然追いつかれて、腕を掴まれてしまった そのまま腕を振り払って、逃げようとしたけど、力が強い。振り払おうとしても出来ない 「なんで、いつも、いつも逃げるんだよ」と質問される そんなの…「あなたの…はぁ、はぁ、ことが…はぁ…嫌いだから」と息が上がりながらも答える なんでこいつ僕より足が早いくせに息が上がってないんだよ! これだから、運動が得意なやつは嫌いだ 「いつも疑問に思うんだが、なんで俺の事嫌いなんだ?悪いことしたか?」 うぅ…それは…「と、とにかく!嫌いなんだ!お前のせいで!水かけられるし!」と言うと一気に雰囲気が重くなって、一条様の後ろから黒いオーラみたいなものが見える 「水…?誰にかけられた…?」と重々しく言う その空気に、ちょっとチビりそうになったけど「覚えてないです」と肩をギュと寄せながら言う 「覚えてないか…じゃあ、ゆず…机に置いてある、飯食べていいからな、俺はちょっと言ってくる」と言い、僕の腕を離し振り返ってどっかに行ってしまった 僕は一条様の後ろ姿を見ながら、一条様のご飯にワクワクしていた 相当豪華なんだろうな~何せ!金持ちだもん!と思いウキウキで教室に帰ると、さっき食べていたご飯を見ると、高級そうな重箱の上に伊勢海老、お刺身、に揚げ物なんかが! 美味しそ~食べていいって言ってたから食べていいんだよね!と思い、重箱を自分の机に置き、食べ始めた

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