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頬にキス

教室を出てから、廊下を2人で歩く そういえば、何か忘れているような…。 あっ!重箱! 慌てて重箱があるか探すけど、手にはないし、歩きながら辺りを見渡すが、どこにもない もしかしたら無くしちゃったかも… なら、一条様に伝えた方がいいよね…。謝るしかない 「あ…あのっ!」と一条様を引き止める 一条様は止まって「ん?」と言いながら振り返った 僕は無くしたことが情けなのと、怒られるんじゃないかと怖くなって下を向いて喋る 「一条様の重箱を無くしてしまったんです。ごめんなさい」 「重箱…。ゆず、あれなもの凄く高いんだ」 た、高い…。ゴクリッ… 僕の今のお小遣いは食費とか諸々抜いて500円程度 500円で買える重箱なんかダンボールか何かでできたものだろう 最低でも1万はくだらない しかも、一条様の重箱は木でできたものであって、ひょっとすると10万…。 無理無理無理…!払えない!払えない! 「一条様、僕お金持ってないんですよ」 「いや、金で払って欲しい訳ではない」 「じゃ、何で払って欲しいんですか?」 「そうだな、ゆず、キスで払え」 「き、き、き、き、き、!キス!?」 「あぁ」 キスなんてやったこと…と思い返したら図書館で一条様とキスしたことを思い出した 僕のファーストキス…。 いや違う!あれは、唇と唇が重なっただけでキスというものとは違う!第一!事故だし! それに!「発情してしまったらどうするんですか!?」 「それは、安心しろ。面倒を見てやる」 「僕は!したくないんです!発情を!」 「どうして?」 「そ、それは…体が重くなったり、自分が惨めになるだけなんで!と、と、とにかく!その…なしと言い…ますか…」 「じゃあ、金払えるのか?」 それも無理。「払えません」 「ならするしかないだろ」 やだやだやだやだやだやだ! ムゥ~…。 キス…く、唇に合わせるだけ!キスというカタカナではないんだよ!いけるよな!僕!頑張るんだ!と覚悟を決めた時に「でも、ゆず、キスをしたら発情しないか?」と言われた しそうだけど…。軽くなるんか!?と思い食い気味で頷いた 「じゃあ、唇にキス1回か、頬にキス2回かどちらか選べ」 僕は迷わず「もちろん!頬にする!だけど!身長低いからしゃがんでください」 一条様は「あぁ」と言いしゃがむと言うより、近くにあった椅子に座って目を瞑った やるしかない!僕!頑張るんだ!もう一度覚悟を入れ、一条様に近づき、隣に座った 頬にキスするだけ、頬にキスするだけ!! よし!いける! 一条様の絹のようにスベスベな肌に向かって 頬にキスをした

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