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プリンと家

踊り場に着くとちゃんと一条様がいた 一条様は何か白い箱を持っている あれは…よくケーキ屋さんで貰える箱!プリンが! 僕はプリンを貰えると思って機嫌よく「一条様!なんですか?」と聞く 「あぁ、ゆず、昨日言ってただろ?プリンが欲しいって、だからこれ」と渡された 「帰りに渡そうと思ったんだが、急遽仕事が入ってな。だから、早めに食べてくれ」と帰って行った と思ったら、クルッと振り返って「今日も、昼一緒に食べるから」と言い、またクルッと振り返りどこかに行ってしまった 「へ!?あっ!ちょっと待ってください!」と引き留めようとしたけど、スタスタとどこかに行ってしまった というか、仕事じゃなかったの? 午前中だけ?みたいな? さすがに困るし…。と悩みながら教室に戻った 席に座り、形が変形しないうちにプリンを取り出し食べ始めた この濃厚な舌触りが堪んない!今までは3個で100円で売っているプリンを食べていたけど、さすが一条様!1000円はしそうなプリン! トッピングとかも何も無いプリンなんだけど3個で100円プリンと比べ物にならないぐらい美味しい とは言っても3個で100円プリンも大好き! それから、授業を受けお昼 ずっと授業中に考えていたんだけど、逃げるって言う方法があるじゃん!と思ってお昼になった瞬間、お弁当を持ち出し速攻で教室を抜け、どこか食べれる場所はないかと探す 色々見て回ったが食べれそうな場所は無い そういえば、屋上とかって見てなかったよね…。よし!屋上に上がろう!と思い来たはいいものの、屋上のドアは閉まっていたため、断念した 他に食べれる場所はないかな…。また、旅に出るとちょうどいい所が見つかった それは、図書館! この前、一条様とばったり会っちゃったけどさすがに居ないだろ〜と思い、図書館に入った とは言っても、油断はできない!だから全て図書館をぐるっと1周周り居ないことを確認した そして、陽の当たる角の椅子を見つけて座りお弁当箱を広げる キラキラのお弁当を見てさすが僕!いい感じにできた!と自画自賛をして箸を持った瞬間、ぽんと左肩を叩かれた まさか…と思い、左を向くと 一条様が居た ど、どうしてこの場所が!? 「やっぱり、正解だった」と言いながら隣に座る 「ど、どうしてわかったんですか!?」 「ん?鼻」 「鼻?」と聞き返す 「実は、一般的なアルファよりも鼻が効くんだよ」 ほ…う…?だからか〜ってそんなんじゃ逃げられないじゃん! それから一条様が「ゆずは、図書館が好きなのか?」 ん〜本は好きだけど、図書館は…「別に、そんなにです」 「そうか〜将来俺たちが暮らすために、家を作ってるんだよ」 「そうなんですね〜ってえぇ!?」 「正確に言うと、家の構造を作ってる。だから図書館もあった方がいいのかな〜と思ってな」 いや、この人怖 まだ、付き合ってもないのに家の構造を考えてるって相当頭が…って元々ダメな人だった 「家を建てるかマンションを建てるか迷ってるんだよ」 「マ、マンションを建てる?」 「そうだが?せっかくだからタワーマンションにしようと思ってな」 タ、タワーマンション!? 「ええっと、借りるとかではなく建てる?んですか?」 「あぁ、何か問題でも?」 いや、問題ありすぎる! 「ええっと、僕的には、慎ましくというか、一般的な感じが…」 「それだと節税対策にならないんだよ」 節税対策!?なんじゃそりゃ 「とにかく、結婚してから考えよう」 「け、結婚!?話を進めないでください!結婚なんて絶対にしませんから!」 「嘘でも、言わないでくれよ。ちょっとは夢を見させてくれ」と言い一条様は食べ始めた 夢って…

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